32話 ページ33
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『誰のせいでもないのが一番辛かった。正直あの時は傑を殺したあんたを責めたくもなった』
誰よりも親友に手をかけた五条が辛いのなんて分かりきっていることなのに。
『だからこそあんたの近くにはいられなかった。とち狂ってあんたを責めたりなんかしたら駄目だと思った』
五条「だから急に海外任務なんかに?」
『それも理由の1つ。あとは、』
あとは____…
『どんどん変わっていく2人を見るのが嫌だった。成長と言ったら成長だったのかもしれない。でも、私が知ってる2人がいなくなっちゃうみたいで、怖かった』
傑に言われて一人称を変えた五条。禁煙始めた硝子。
どれも2人にとって成長のための変化だったのかもしれない。だけど私にとっては、置いてかれるようで虚しかった。
『だから、何も変われていない私が2人の近くにいるだけで自分自身が嫌になった。自己中だよね、分かってる。五条に優しくしなかったのもわざと』
五条「ッ、」
『だって、優しくしたらあんたはまた強くなるでしょ?強くなった気になるでしょ?』
まだ自分を支えてくれる存在があると分かった人間は自分はまだやれると思い込んでしまう。学長に言ったように、彼に優しくしないのは私のためであり、彼のためでもある。
『でもこっちに帰ってきて正解がわからなくなった』
五条「悠仁達を見た、から?」
『うん。私には無い強さを持ってた。仲間を亡くした時、彼らの頭にあるのは強くなろうという意志だった』
関心よりも衝撃だった。何故こんなにも強くいられるのだろうと。だから恵にさっきの質問をされた時、少し焦った。彼らより弱い私が、答えていいのかと。
五条「俺はお前に優しくしてほしかった」
私が言葉を詰まらせたのを感じたのか、今度は五条が語り出した。
五条「傑を殺して、正直頭ん中訳わかんねえ時にお前は勝手にいなくなった。俺が欲しい言葉を誰よりも分かってるお前がね」
『ごめん、』
五条「今更謝って欲しいわけじゃねえよ。ただあん時は死ぬほどムカついた。何てめえだけ逃げてんだってな。でも後から考えたら、そりゃ逃げたくなるよな。だって、」
あんなに好きだったんだから。
その言葉はまるで当時の私の心情そのままだった。そう、あんなに好きだった。狂おしいほど愛しかった。
五条の大きな手が私の頭に優しく乗った時、私は初めて彼の前で泣いた。
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ひながき(プロフ) - しおりさん» 𝑶𝑴𝑮(゜д゜)、教えていただいてありがとうございます!! (2022年2月7日 1時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 悠仁の漢字間違ってます! (2022年2月6日 23時) (レス) @page23 id: 2479e15f01 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条オチです!!今後もお楽しみください!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 15さん» ありがとうございます!!ゆっくりですが、しっかり更新していきます!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ひながきさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています(*^^*)楽しみにしています。 (2022年2月5日 21時) (レス) @page25 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひながき | 作成日時:2022年1月9日 22時