いい加減にしろ！！４

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櫻井｢俺たちが何も無いって言っても、世間は揚げ足とってここぞとばかりに突いてくる。呼び方なんて今まで気にしたこと無かったけどさ、無意識にカメラが向いてる時は気安くAって呼べなくなってた｣




呼び方の違いに気づいた時、彼のことだから何か意図があるんだろうと気になって何も考えず聞いた。だけどそこにそんな真意があるとは思わなかった。




『何回も言うけどさ、あれは100%翔くんのせいじゃないよ。でも、それでも翔くんは納得できないんだよね』

櫻井｢ごめんな｣

『もう謝るの無し！翔くんのそんな弱々しい感じっていうの？私は見たくないです！』

櫻井｢ちょ、椎名声でかい｣




翔くんの近くに手を付き、私は身を乗り出した。




『椎名じゃなくてA！！今はカメラ回ってないでしょ？だから椎名呼びは禁止です！！』

櫻井｢分かった、分かったから落ち着けっ！｣

『じゃあ呼んでよ、名前』

櫻井｢は？｣

『ほら、私はだーれ？』

櫻井｢お前ッ、ずるいだろそれは｣

『さっきずるい言い方してきたのはどこの誰？』

櫻井｢チッ………A｣




照れくさそうに呼ばれたその名前はやっぱり椎名という言葉よりも数倍嬉しいものだった。




『守ってくれてたんだよね、ちょっとでもファンが勘違いしないように』

櫻井｢こんな方法しかねえけどな｣

『なんかずるいなー、翔くんばっかりヒーローみたいで』

櫻井｢女に守られるほど弱かねえよ｣





守ってくれているのはとても嬉しい。


でも、意図的に椎名と呼ばれるのは＿＿＿…少し寂しい。





『じゃあ私も櫻井さんって呼ぼうかな』

櫻井｢今からじゃ逆に不自然だろ｣

『翔くんだって初めは周りにそう思われたかもよ？』

櫻井｢当のお前は気づいてすらいなかったのに？｣

『うるさい』

櫻井｢だからお前は今のままでいいの｣

『やだ、櫻井さんって呼ぶ。私も翔くんのこと守りたいもん』

櫻井｢なっ、聞き分け悪い奴だな？そのままでいいって言ってんだろ？｣

『やだよ！絶対やだ！』

櫻井｢今から変えたら不自然だって＿｣

『私、声優だし。言葉に関しては不自然に感じさせることなんて絶対無いし』

櫻井｢それは、っ、そうだけど｣

『じゃあいいよね？櫻井さんって呼んでも。それとも他に何か呼んで欲しくない理由でもあるんですか？』




得意げにそう聞くと、翔くんは私の思考を読み取ったのか悔しそうな顔でこちらを見つめてくる。イケメンに睨まれてもちっとも怖くないよ。

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