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____虚無なのか、感動なのか。
壇上で話終わり、トロフィーを手に元の席に戻ってからは話している時の記憶なんて全く残ってなくて。
(私変なこと話してない?やらかしてない?)
そんな動揺で頭がいっぱいだった。
呆然としていた私を見たのか、隣にいたぶっきーが「大丈夫?」と声をかけてくれる。
『現実、だよね』
妻夫木「現実だよ笑」
『私ちゃんと話せてた?頭良さそうなこと言ってた?』
妻夫木「それは知らないけど、ちゃんと話せてたよ」
『ならいいんだけど』
最優秀助演女優賞。
貰えるなんて思ってもいなかった賞である。
そもそも日本アカデミー賞に出ることでさえ今回が2回目、1回目は新人賞を貰った時だからそれこそ緊張していて覚えてないのが本音。
『ぶっきーも取ってね、そういう流れよこれ』
妻夫木「ニノは良いのかよw」
『ああ、まあ。それはそれよ』
妻夫木「なんか複雑な気持ちなんですけど」
『私情持ち込み禁止ですから』
妻夫木「プロだな」
『ぶっきーに言われてもなんも嬉しくない』
妻夫木「お前なぁ…」
ちらっとおにいの方を見ると、こっちになんて目もくれずいつもと変わらない猫背で座っている。
俺は慣れてますよってか、くそ。
『炎上するかなあ…』
妻夫木「なんでだよ」
『最優秀取った奴誰だよって。あいつ誰だよって』
妻夫木「何ネガってんだよ」
『あーあ、怖い怖い』
妻夫木「俺もう行くけど、大丈夫?」
『行かないでって言っても行くんでしょ?なら聞かないでよ』
妻夫木「俺もしかして八つ当たりされてる?」
八つ当たりじゃないなら逆になんなんだ。そんな意味も含めてぶっきーを少し睨む。
翔くんと仲の良いぶっきーの私に対する扱いは翔くんそっくりだ。「はいはい」と私の頭を何回か軽く叩き、壇上へ行ってしまった。
真ん中に座ったぶっきーの右隣にはグレーのスーツを着たおにいがいて、あの人ずっと猫背だなあ、なんて呑気に見つめる。
少しだけ、ほんの少しだけ。
____おにいも取ってくれないかな
なんて思ってたりもする。
『公私混同』
窪田「何が?」
そんな私の独り言を隣に座っていた窪田正孝がなんの気なく拾い、首を傾げながら聞いてくる。
『……なんでもない』
窪田「なんでもないことない独り言だろ」
『ちょっとうるさい』
窪田「うるさいことないだろ」
同い年ということもあるからか、ほかの共演者よりかは砕けた話し方になる。
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神崎(プロフ) - 声優と嵐のコラボは他では見れないので楽しく何度も読ませてもらってます!更新ありがとうございます! (1月14日 23時) (レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております。 状況が整うまでジャニーズのは避けるためジャニーズ関連の溜め込んだ下書きはぜひどこかで必ず上がってくれると嬉しいです。絡みのお話とても大好きです 。 ぜひご検討よろしくお願いいたします。 (10月14日 11時) (レス) id: 5d74146612 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - honokaさん» とっても嬉しいです(>ᴗ<)不定期ですがこれからもよろしくお願いします! (6月4日 16時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 凛さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします(՞ ܸ. .ܸ ՞)" (6月4日 16時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
honoka - このお話、大好きです︎🫶🏻更新待ってます!! (6月1日 20時) (レス) @page34 id: 944c15d446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひながき | 作成日時:2022年10月18日 20時