春の交差点 ページ46
『行かないで… 』
思わず藤ヶ谷さんのコートを握ってしまった。
「彼氏さんも一緒にどうぞ」
か… 彼氏だなんて!!
「あ、そうすか?」
私の側に座った。
きゃぁあーーー!!
言うんじゃなかったこんなこと!!
ジッと見られて余計恥ずかしいーーー!!
「メイク取りますね… 」
恥ずかしので私は目を瞑った。
「わぁ… お綺麗な肌ですね」
え…
綺麗?
「でしょう?たまご肌♪」
タマゴ??
「ええ、とても良くスキンケアされてますね」
洗顔だけは丁寧にしてる…
化粧品もなるべく自然な物を使っていたから…
「とてもファンデのノリもいいですね」
なんか… 照れちゃうよ。
「目元はこんな感じでいいかしら?」
私に聞かないで藤ヶ谷さんに聞いていた。
笑顔で頷く藤ヶ谷さん。
やだ… ドキドキしてきちゃった…
「で、これが今年の新色ですよ。これを少しずつ… こうして… 円を描くように… 」
お姉さんが優しくチークを入れてくれた。
「春の口紅は この5色が限定ですよ。どれにしましょう?」
また なぜか藤ヶ谷さんに聞いていた。
「じゃあ、このピンク系で。あ、あまり厚く塗らないでください」
???
なんで??
「ふふっ… かしこまりました」
何なの??
よくわからないままメイクが完成。
「うん、綺麗だ」
綺麗… ?
「はい、お綺麗ですよ」
鏡が私の方に向いた。
「な?綺麗だろ?」
鏡の中の私…
「これ… 私?」
藤ヶ谷さんとお姉さんがニコニコ頷いていた。
じわっと目頭が熱い…
「泣くなって。お姉さんがせっかくやってくれたの台無しにする気か?」
私は必死に泣くのを我慢した。
綺麗… ピンクの口紅が可愛いかも…
全体的に厚塗りではなく 清楚なナチュラル春メイク。
「じゃあ、コレ 一式ください」
え?
「はい、かしこまりました」
えーーーー!?
うそ…
「ほら、行くぞ」
私の手を握った。
「ありがとうございました」
紙袋を持ちデパートを出た。
まだ春には少し早い2月… 私のメイクだけは春がきていた。
大きなスクランブル交差点で止まった。
その間も藤ヶ谷さんの手はしっかり私の手を握っていた。
「わぁ… ねぇ 隣のカップル超素敵!彼氏イケメン!」
え… ?
「うん、本当。彼女も可愛いね」
彼女…
私?
藤ヶ谷さんを見た。
「可愛いって。良かったな」
じわっと涙が出て…
信号がすべて青になり皆が歩き出す。
藤ヶ谷さんはしっかり手を繋ぎ歩き出した。
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亀猫(プロフ) - erika2910さん» erika2910さん、こんにちは。メッセージ欄にお返事してます。ご確認ください。コメントありがとうございました(*^▽^*) (2023年4月5日 9時) (レス) id: d73310e050 (このIDを非表示/違反報告)
erika2910(プロフ) - 亀猫さんこんばんは、続き読ませて頂きたいです。パスワード教えて下さいm(_ _)mお願いします。 (2023年4月4日 0時) (レス) @page50 id: 47d6a17890 (このIDを非表示/違反報告)
まさえ(プロフ) - 亀猫さんありがとうございます(๑˃̵ᴗ˂̵) 続きを見るのが楽しみです♡ (2022年8月16日 17時) (レス) id: 8520b1feca (このIDを非表示/違反報告)
亀猫(プロフ) - まさえさん» まさえさん、おはようございます(*^▽^*) メッセージの方へ、パスワードを発行してあります。ご確認ください。ありがとうございました(*'ω'*) (2022年8月16日 5時) (レス) id: d73310e050 (このIDを非表示/違反報告)
まさえ(プロフ) - パート2を見たいのですが、パスワードがかかって見れません! 教えていただきたいです! よろしくお願いします。 (2022年8月16日 0時) (レス) @page50 id: 8520b1feca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亀猫 | 作成日時:2014年2月11日 17時