初恋とココア【黒羽快斗】

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喫茶店をハシゴするなんて大分キてると思うけど、このポアロという店はかなりいい。


雰囲気もいいし、何よりイケメン店員と美人店員が揃っているところが素晴らしい。



ココアとオススメのハムサンドを頼み、ハムサンドがもし美味しければ常連になろうと心に決めた。



「あーん、キッド様ぁ……宝石と一緒に私も盗んでくれないかしら！」



大きな声にびくりと肩を震わせ"キッド様"という単語に後ろを振り返る。


そこには同い年くらいの女性二人組がいた。


「園子、あんまり大きな声出したら迷惑よ」



そう宥める女性と目が合うと、彼女は「すみません」と申し訳なさそうに笑った。



「いえ、気にしないで。怪盗キッドが好きなの？」


「はい！今日うちの美術館に来るんです」


「うちの美術館……って」


もしかして、と言うより先に、茶髪の彼女が照れくさそうに笑った。



「へへ……そうなんです。私、鈴木園子っていいます！」


「園子の友達の毛利蘭です」



あの有名な鈴木財閥の。


まさかの出会いに腰が抜けるかと思えば、イケメン店員さんがココアとハムサンドを運んできてくれた。


美味しそうな香りを漂わせるココアとハムサンドはいとも簡単に私の空腹感を刺激して、もう我慢することはできないと悟った。



「あの、もし良かったらこっちで一緒に食べません？」


「え、いいんですか？」


「もちろん！お姉さんともっとお話したいですし」



こんな美人の中に混ざっていいのかと柄にもなく謙遜したが、こんな機会はそうそうないと勝手に納得した。


カウンター席からボックス席に移動し、奥の席に腰を下ろす。




「私は橘A。よろしくね」









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