猫系彼氏【そらる】

episode16 ページ17

まふまふside







真っ赤に腫れた目。



頬に残る涙の跡。



痛々しい姿をしてるくせに、彼女はすごく強がりで。







A「…もう大丈夫」







僕に抱きついて一通り泣いたあとは、へらっと笑ってみせるA。



ねえ。なんでそんなに無理して笑うの。



僕はそんな彼女を見るのがつらい。







A「まふくん、いろいろありがと」


まふ「いーよ」


A「明日、ちゃんとそらるさんと話すね」


まふ「うん」







やめなよ。なんて。



僕が言える立場じゃない。



ほんとうは止めたいくせに、自分の気持ちに鍵をかける。







A「おやすみ」


まふ「おやすみ〜」







疲れきったAはすぐに寝ちゃって。



僕はそっと寝顔を眺める。



と。



〜♪〜♪〜♪



スマホの着信音が部屋に響く。



画面に映し出されたその名前に、少しイラつく。







まふ「もしもし。なんですか、そらるさん」







電話の相手は、Aを泣かせた張本人のそらるさん。



スマホ越しから焦ってる様子が伝わってくる。







そらる「Aどこにいるかしらない？」


まふ「…知ってますよ」


そらる「え、どこ？！」


まふ「……教えません」


そらる「は？！」







変なところで意地をはっちゃうのは、僕の悪いところ。







まふ「A、泣いてましたよ」


そらる「…ｯｯ」


まふ「そらるさん」







そこで一旦、口を閉じる。



Aの頭を撫でながら、僕はまた息を吸い込む。







まふ「A、僕がもらいますね」







そらるさんの驚いた声が聞こえたけど、僕は構わず通話を終わりにする。



A、知ってた？



僕ね。ずっとAが好きだったんだ。



僕ならぜったい君のこと泣かせないのに。



気づかれないように優しく、Aの額にキスをする。



ごめんね。もう限界なんだ。

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