4.そういうことにしとく ページ5
「愛蔵。どうしたの?」
「今日、18時から撮影入ってるって言われただろ。お前と連絡が取れないから探せって内田さんに言われたんだよ」
「ああ…そうだった」
そうなんだ、染谷くん達はこれからお仕事なんだ。
じゃあ染谷くん。なぜ貴方は、今も私を壁に追い詰めたままなのでしょうか。
「で…では私はここで!2人とも、お仕事頑張って下さい!!」
早く帰りたい。帰って、ちょっと頭冷やしたい。
そう思いながら彼の腕(と壁)から距離を取った時_
「あ、A」
さりげなく引かれた手と、どアップに映るアイドル。ちゅ、と鳴ったリップ音。
何をされたか理解するのに、数秒かかった。
ふと足が止まってしまい、藍色の髪の彼を凝視してしまう。
「…染谷くん今のって、」
「君がして欲しそうな顔してたから」
「そんな顔してないけど!?」
「はいはい、そういうことにしとくよ。じゃあ僕行くね」
(適当にあしらわれた…!)
染谷くんは楽しそうに笑って、柴崎くんと帰ってしまった。
頬に手を当て、私は呆然と立ち尽くすしかなかった。
(ほっぺに、キ…!!??)
平静を装ってドアノブをひねる。
(どうか心臓がバクバクなのを誰にも気づかれませんように!今日はすぐ自分の部屋に籠ろう)
が、パタパタとリビングから足音が聞こえてきた。しかも複数…ということは。
「Aおかえりー!」
「ただいま。萌奈、聖奈
ボブとツインテールの美少女2人…もといお姉ちゃんが出迎えてくれた。
こんなに綺麗で優しい姉達がいるなんて、私はきっと前世で素晴らしいことをしたに違いない(謎の自信)。
「今日はみんなでご飯食べられるの、嬉しいな!」
そう言うと、2人に抱き締められる。
「Aが天使に見える…」
「もーお姉ちゃん!“見える”じゃなくて“天使”なの!」
「萌奈違うよ。ねえ達が天使なんだよ!!」
玄関で言い合っていると、お母さんに「早く手を洗ってきなさい」と声をかけられて鞄を持ち直す。
「今日のご飯は赤飯だよー!お姉ちゃんのお祝いっ!」
「聖奈ねえの…?」
「実はね…私が出演していた『ロメオ』のリメイク版が出ることになったの」
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます!出来上がり次第、更新します! (9月20日 6時) (レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます!! (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2023年8月22日 17時