18．伴奏 ページ24
あれよあれよと事が進んで。会場の所有権を持つ方からグランドピアノの使用許可が下りたので、私もそろそろ覚悟を決めなければならない。
「ごめんね。Aちゃんを巻き込んじゃって。せっかくライブを観に来たのに…」
内田さんが申し訳無さそうにそう言った。
「気にしないでください。私はただ、Lip×Lipの１人のファンとしてお手伝いしたいだけですから」
きっと今日のためにたくさん練習を重ねたのだろうから。
『お願い。君に、ピアノを弾いてほしい』
それに、あんなに真剣に頼まれたことは珍しくて。自分を信頼してくれていると嬉しいのだ、とても。
楽器が後半から運ばれるとはいえ、普段着(おめかしした方だが)の格好でステージに上がるのはどうなんだ、というスタッフの意見により、私はこの会場のPRキャラクター(犬のような猫のような動物)、ワンニャーの着ぐるみを被る事になった(ネーミングも個性的だと思った)。
被ってみると、手の辺りが涼しい感じだ。
他のアーティストなどもこの着ぐるみを着て、演奏することがあるのだそう。
「準備終わりました！」
「オッケー！Aちゃん、伴奏よろしくね！」
「あ、伴奏の方！準備できたら先にステージにスタンバイしてください！」
男性スタッフに呼ばれてステージに向かう。
視界が安定しないので手を引いて案内してもらう。
なんか…迷子にならないように手を繋がれる子供みたいで恥ずかしい。
均等に体重を支えてくれる椅子に座り、明かりがつくのを待つ。
心臓が、比喩ではなく口から出そうなほど、緊張している。
(＿大丈夫)
幕がゆっくり上がる。
そして一気に視界が明るくなった。
「キャー！！勇次郎ー！！愛蔵ー！！！！」
「あれ…ピアノと……………ワンニャー？？」
期待と喜悦が混じった声が会場から聞こえた。
それを合図に手を鍵盤に置く。
今から、一回きりの、伴奏が始まる。
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
