16.Lip×Lip SUMMER LIVE ページ22
何でもない日が一生忘れられない日になる。
ライブに参加するってことは、そういうことだと思っている。
『Lip×Lip SUMMER LIVEまで残り6日!早くジュリエッタに会いたいな!』
(……あと、6日か)
爽やかスマイルで告知をしている柴崎くんと染谷くんの動画を見て、思い出した。
ふと机の上に目をやる。夏の日差しを浴びたようなテイストの入場券。いつでも視界に入れておきたくて、それを引き出しにしまえずにいる。
『A!このチケットあげる!』
『えっ、いいよ!せっかくだし萌奈が行きなよ。芸能界の先輩のライブだよ?』
『はぁ?行かない。行きたくないの。…あんなこと言う奴のライブ見たくないっ!』
萌奈がそう言って私にLip×Lipのライブチケットをくれた。あの時の彼女の顔は嫌いな食べ物を出された時のそれで、何か過去にいざこざがあったんだろうなと察した。
「…まぁ席端っこだからいいか」
あえて口に出して自分を納得させる。チケットは倍率が高いし、当たらなかった人達の代わりに行くべきだと。
本音を言えば、好きな人のかっこいい姿を見たかったのだ。
ライブ当日。時間があったのでお手洗いを済ませて席へ戻ろうとした時、
「ええっ!!??どうするんですか!!!」
と切羽詰まった声が聞こえた。
(何かトラブルかな……)
「はい…確かに僕が機材の搬入の指示しましたけど……………そっちに持っていったんですねぇ……………」
歩きながら電話をする男性の首にはスタッフパスがぶら下がっている。どうしよう、と顔にでかでかと書いてあり、背中が弱々しい。
「こちらに来るまで何分くらい……あっ、1時間かかるか、かからないくらい、ですか…。分かりました。彼らに伝えておきます」
よろしくお願いしますと丁寧に言って電話を切った彼。
大変そうだなぁ……
と、その彼と目が合った。
「ああ!!そこの君っ!!!実はベースとかの楽器がこちらのミスで、違う会場に運ばれたんだ!彼らに謝りに行くから一緒に来てくれ!!!」
「えっ!?あの、私は_」
スタッフじゃないと言う前にグイッと腕を引かれ、どこかへ連れて行かれる。さっきのか弱そうな印象は嘘かと思うほどの腕力だ。
(スタッフってスタンバイ前には
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます!出来上がり次第、更新します! (9月20日 6時) (レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます!! (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2023年8月22日 17時