14.好きでいてくれたこと ページ20
『高校に入るまで僕たちが付き合ってたこと、言っといた方が良いと思うんだけど』
心臓が爆発したかと思った。それってほぼ全部言ってるのと同じでは?と言う前に、
「はあっ!?勇次郎が付き合ってた!!!???」
「中学生の時にAと…!?」
柴崎くんの驚いたような声と聖奈ねえの興奮した声が重なった。
(あぁ………終わった。もう誤魔化せない…)
脳内でカンカンカーン…と試合終了のゴングが鳴る。勝者は染谷勇次郎だ。
周りを牽制するように言われた言葉に顔を赤くせずにはいられなかった。
…まだ好きでいてくれて嬉しい。
噂されるのは嫌というより恥ずかしいという気持ちの方が大きいけど。
それでも手を離してしまった彼がまた歩み寄ってくれるのが、今すぐ抱きつきたいくらい嬉しくて。
でも_
『はあ……………。馬鹿なアンタにも分かるように言ってあげる。早く彼と別れて』
『……………えっ』
『勇次郎くんの邪魔しないでって言ってんの!…これからが大事な時期なんだよ、それ分かってるわよね?』
『…それは分かってま』
『分かってないからこうなってるんでしょ!!!???』
耳を塞ぎたくなるような罵詈。感情に任せて机を払った手により音を立てて小物が落ちた。
『すみ、ませっ…』
『すみませんで済まないのよ!!
『…………………………っ!』
『あっごめんね〜?似てるのは“顔”だけだったねぇ?アンタはモデルも出来ないし、たとえモデルになったとしても勇次郎くん達のMVに選ばれるわけないもの』
『………………………………………』
『…じゃあそれだけだから。また忠告しに来る前にさっさと忘れなよ。後、そこの机の下に散らばってるヤツ片付けといて』
荒々しく閉められたドアを呆然と見つめる。
ふと先程まで浴びせられた言動が頭に貼り付いて、涙が止まらなかった。
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます!出来上がり次第、更新します! (9月20日 6時) (レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます!! (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2023年8月22日 17時