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やめてほしい。今日のために頑張って新調したヒールのことを言うのは。
休日はサンダルかあるいはミュール。ねえ達と違って雑誌の撮影とかで履き慣れている訳なんてなくて。
だけど少しでも…ほんのちょっとでも染谷くんに可愛いって、誘ってよかったって思ってもらえるように履いたのだ。
…それに、この体勢。
倒れそうになった私の背中に手を回している彼の手はすごくしっかりしているし、ステージに立っている時の高い声じゃなくて、プライベートの時の低めの声が耳元にあたって顔爆発案件だ。
「ヒール履いてきてくれてありがとA。目線が近いし、服も可愛くて………会った時からドキドキしてる」
(………うわ)
照れ臭そうに視線を落とした彼の頬は林檎色になっていた。
それから水族館でディナーを取り、お目当ての限定スイーツを食べた。抹茶味のソフトクリーム。ツリーに見立てて、てっぺんには星型のチョコレートがついていた。美味しいはずなのに、目の前の彼が更にかっこよく映ってよく味が分からない。
(ひえ…結局染谷くんと、手を繋いでいるし…！)
斜め右に目を向ける。力強く手を引いてくれる彼の耳が朱に染まっていた。
手を繋いでる理由は、あらゆる段差でこけかけている私に、呆れ顔で手を差し伸べたからだ、この男が。今思えば、繋ぐための口実だったのだろう。
「帰りに寄り道していかない？」という彼の提案に頷き、無言が続いて…
せめてどこへ行くか分かっていたら…染谷くん教えてほしいな！？
「着いたよ」
ふと、彼が立ち止まった。足を止めるとクリスマスツリーが。
「…イルミネーション？」
「うん。駅にいた時、ずっと見てたから」
「あ、うん…連れてきてくれてありがとう！」
(それは、ツリーが恋愛スタートスポットだから…！)
絶対彼にはバレないようにしよう…と口をチャックにしていると「…はい」と何かを取り出した。
チャリ……………。
「え…？」
「記念のストラップ。ちなみに僕と色違いだよ」
「それって…」
「お揃い、受け取ってくれる…？」
ピンクとブルーのイルカが彼の手で揺れたと同時に、私の心も揺れる。
…この、甘いルックスのアイドルは、どれだけ私を沼らせるのだろうか。
『許してサンタさん』を聴く度に、私はこの日を思い出すに違いない。そう、確信した。
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
