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細められた瞳から放たれる視線が痛すぎるので「そ、そうだ!!」と無理矢理話題を変えた。
「3人でしようよ!ハロウィンパーティーを!」
「え、やだ」
(即答…!)
「そこをなんとか…!!あ、さすがにお仕事の日には予定入れないよ?日程は勇次郎と柴崎くんのスケジュールとは被らないようにするので!」
両手を合わせて頼む。勇次郎にも友達と盛り上がる楽しさを体験してほしい。そう思うのは、彼の笑った顔が1番好きだから。特別な感情で提案するのは自分勝手だろうか。
すると手が温かくなった。思わず顔を上げると、艶っぽい笑みを浮かべた彼と目が合った。
彼に手を握られたようだ。金風が吹いているはずなのに、一気に体が熱くなる。
「そうじゃなくて、僕はAと、2人でしたいんだけど」
「へっ!?」
「最近レッスンで忙しくて、君に我慢させちゃってるから……おうちデートしようよ、ね?」
「そっ、その顔わざとやってるよね!!??」
小首を傾げこちらを覗き込んでくるのはずるい。私は赤くなった顔を隠しながら頷いたのだった。
目の前には、ヴァンパイア姿の彼氏。胸元にあしらわれたジャボ、漆黒の長いジャケット。西洋の雰囲気だけでなく裏地の海老色によって和のテイストも感じさせる。こんなの…
「勇次郎は私の心臓を粉々にしようとしているのかな?」
「あはは、事務所のフィッティングルームにあったやつを借りてきたんだよ。こういうイベントは雰囲気が大事ってA言ってたじゃん」
「まさか本当に仮装するとは思ってないよ!」
彼の自宅に「お邪魔します」と言って上がったとき、勇次郎がいた。美麗すぎて目が潰れるかと思った。
(やばい。緊張する)
吸血鬼に案内され、完全な2人きりになって私の鼓動はライブ状態になる。
と_
「はい」
ぽす、と何かを被せられる。急に視界が真っ暗になった。
「わっ、何……?」
「ゾンビの被り物。ふ、すごく似合ってる」
「はいっ!!??」
頭から外すと紫色のペイントが付いたゾンビの顔だった。微妙なリアルさが逆に現実離れしている…じゃなくて!
「似合うってどういうこと!?さっき笑ってたし!!彼女にそれはひど_」
反論しようと開きかけた唇を軽く塞がれた。
「すぐムキになるとこも可愛い」
お菓子よりも甘い声に、耳が痺れた気がした。
「A、Trick or Treat」
Fin.
10.彼の本音 〜YUZIRO Side〜→←9.下手すぎて ♡番外編
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます!出来上がり次第、更新します! (9月20日 6時) (レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます!! (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2023年8月22日 17時