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1.ヒロインではない ページ2

Lip×Lipのメンバー、染谷勇次郎。




彼の名前を聞いて、知らない人はいない。




『全国のジュリエッタ!来月からのツアーで会えるのを楽しみにしてるよ!!』




(…あはは。私に向ける笑顔とは大違い)




 ビルに設置されている電子機器から大音量で流れたLip×Lipの広告動画が目について、思わず引きつった笑みが浮かぶ。













『成海さん。降りるの早いね?』




『えっ』




 あの後、バスがグラウンドに停まったことを素早く確認してタラップを降りた時に声をかけられた。




あれ確か貴方って後ろの方の席でしたよね、最前席の私に追いつくとはどういうカラクリですか?…などと疑問が脳内を流れて行く。




そう。“流れて行った”だけだ。ここで色々言えたら良かったのに(しかし、それらを口にしたら何が起こるか分からなかったが)。




(“降りるの早いね=なに勝手に帰ろうとしてるの?”だからね…)




 試験の数倍、頭をフル回転させ、




『今日は本当に良い天気ですねー!?私ピクニックしたくなったので帰りますっ!!!』




『…は、ちょっ…!』




結論から言えば、逃げた。




というか、もう少しマシな嘘をつくべきだった。あの時も、この時も。




だって…




 次の日の朝。




「成海さんおはよ!」




「そ、染谷くん!?…おはよう」




休み時間。




「移動教室、僕と一緒に…」




「ごめんなさい友達と約束してるので!」




(何この展開…!)




 なぜ、こんなにも周りを気にしながら帰らなくてはいけなくなったのだろう。




(これじゃあ、まるでヒロインじゃん)




 上履きから外靴に履き替えようと、下駄箱に手を入れながら思い耽る。




圧をかけられ(これはときめかない)、気にかけられ…いやいや、付き合っている訳ではないからこの表現の仕方は不適切かな。




「…何か言いたいことでもあったのかなぁ」




何回も話しかけられたのだから、話があることを察してしまうし。






「……………だから声かけてるんでしょ」




空気に溶けて行くはずの言葉が掬い上げられた。

2.聞き間違い→←プロローグ



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設定タグ:染谷勇次郎 , HoneyWorks , Lip×Lip   
作品ジャンル:恋愛
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます!出来上がり次第、更新します! (9月20日 6時) (レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます!! (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほたる | 作成日時:2023年8月22日 17時

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