アンジュ・エ・デモン 2nd

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「ほんっと、チャラいんだけどあの人…ごめんね、変なこと言って」



「ううん。流星くんフットサルチームに入ってるんだね」



「うん、まぁ。ユウレイ部員だけど。


今度Aちゃんも見にくる？練習。ていうか、一緒にする？女の子もいるよ」



「…球に脚当たらないかもだから遠慮しとく」



「えー、それ運動オンチすぎるって！ヤバいよ」








昔から本当に運動が苦手で、正直逆上がりもできた事が無い。

それを話したら、スポーツ万能らしい流星くんはあっけにとられてる。







「じゃあ、Aちゃんの特技は何？趣味とか」



「んー…何だろ。コレっていう大きな物は無いけどー…


最近ちょっと自炊するようになって楽しかったなっていうのと、小学生の時はピアノ習ってた！」



「へぇ、ピアノかぁ。ピアノ弾いてる女の子って良いよね、五割増しに見える」








五割増しか…



重岡くんの初恋が万一私だったとしたら、その五割増しの姿を好きになってくれたって事？



って事は、ピアノっていう鎧が剥がれた私は今どんな風に映ってるんだろう。







…って、ダメだ。何で今、重岡くんの事なんか考えてしまうんだろう。







「自炊するんだ、Aちゃん」



「一応ね。でも凄く得意とかじゃなくて、人並みにってくらいだよ」



「全然良いじゃん。今度食べたいんだけど、手料理」



「…うん。何が良いかな？」








上目遣いで、優しい目をして微笑んでくるからドキドキしてしまう。







「何が自信ある？」



「んー…ハンバーグとか、お好み焼きとか、生姜焼きとか…」




「あはは。中学生男子の食卓だね」









全部、重岡くんが美味しいって言ってくれたものばかりを言ってしまった。





そういえば、結局唐揚げは作らなかったな…







って、またそんな事考えちゃって。







ほら、何か言いたそうな顔で見られてる。







「……そろそろ出ようか？送るよ」



「うん、ありがとう」








今心ここに在らずだったの、気づかれちゃったかな。





本当に、こんなのどうかしてる。

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