アンジュ・エ・デモン

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一人暮らしは初めてや。





最初は張り切ってたけど、慣れない環境や忙しさにまともにできるはずもなく。

しかも、こっちに知り合いは会社関係以外でおらん。

はぁ、孤独やな。






まだ1ヶ月も経ってへんのに、早くもホームシック。実家帰りたい…大阪弁懐かしい…






どうせ帰っても1人で暇やし。

いつの間にか、仕事が終わっても真っ直ぐ帰らずゲームセンターで時間を潰す事が多くなった。






反抗期の男子かって思いつつ対戦ゲームをひたすらして、夕飯を適当に外で食べて帰る。





家に帰るのは遅いから、後は洗濯機のスイッチ入れて、その間に風呂入って、干して寝る。





そんな毎日だったはずやのに







「……高橋さん…？」








社宅のエントランスにあるベンチにもたれかかりながら高橋さんが船を漕いでる。

嘘やろ？ここで寝る気なん？

てか、社宅やったん？







迷ったけど、このまま放っておけず声をかけた。








「なぁ、高橋さん、起きてや」



「んー……ヤダぁ…」



「ヤダやなくて。風邪引くで？部屋まで連れてったるから」



「誰ー？」








そっと触れた体はめっちゃ熱いし、頰は紅潮して、目はトロンとしてる。


これ、ヤバいやん。こんなん、俺の次に発見したヤツに確実に喰われるやつ。







「ほら、部屋どこ？何号室？」



「だぁれぇぇ？お兄さんイケメンだねぇ〜」








顔見て分からんのかい。

ちょっとショックやん。







「なぁ、鍵あんの？送るから」



「んーーふふ、ふじいさん優しい〜〜♡」







は？ふじいさん？







誰やねんそれ。

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