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58 みっくん・side ページ7

1分後、階段を上る音がしてトボトボとAが戻ってきた。




「だめだー…大家さんいない…締め出し…」




「あー…じゃあ、俺ん家で待つ?大家のじーさんも、そんなに遅くはならないだろ」




「…いや、でも悪いし…いきなり」




「いいよ。昨日深雪のこと押し付けた御詫び。

変な事もしないって誓うから、心配せずにどーぞ」





「…じゃあ、少しだけ時間潰させてもらおうかな!」





そう言ってにっこり微笑まれて、不覚にも、ほんの少しだけどキュンとしてしまった。






「ふーん、間取りとかは殆ど同じなんだねぇ」



「同じアパートなんだから、そりゃそーだろ。


何飲む?ビール?」



「うん!ありがとー」





ビールを渡して、買い置きしてたお菓子のおつまみをテーブルに広げてプチ宴会。

りんごジュースばっかりだったAも、お酒飲む年齢になったんだよなー…なんて感慨深く思ったりして。





「じろじろ見ないでよ、飲みにくいじゃん」



「いやー…大人になったなぁって思ってさ」



「ふふ、老けたの間違いでしょ?」



「お互いな」





他の部屋から聞こえてくる風鈴の音が心地よくて、部屋から外を眺めると夕陽が沈んでいくのとか見えるんだ。




Aが黙っちゃうから、俺も自然と黙っちゃう。





「…あのさ、A」



「ん?」



「昨日…深雪を泊めてくれてありがと。助かった」



「ほんとだよー。もうやだからね、みっくんの彼女をいきなり泊めるのとかさ」



「うん…分かってる。何話した?変な事言ってなかった?」




「…内緒ー。ヒミツのお話だよ」





深雪って、案外ぶっ飛んでるとこあるからな…何喋ったのか恐ろしいわ。

でも、それすらも少し楽し気に言ってるから不愉快な相手では無かったのかな。





「はいはい、女同士楽しかったんじゃん。

コレ、さっき深雪が俺んとこ来て渡しに来たよ」




このタイミングでさらりと鍵を返すことに決めて、目の前に差し出した。

途端、Aの目が真ん丸に変わる。





「えっっ!!ちょっと、何で言わなかったの?ビックリしたじゃんっっ」




「ごめんな、完全にタイミング逃してて。

はい、どーぞ。まぁせっかくだからさ、このまま飲もうぜ」





誤魔化しながら鍵を返して立ち上がると、緊張が解れたのと酔いもあってか、足元がふらついた。

59→←57 みっくん・side



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ななこ(プロフ) - はじめまして!このお話今初めて読ませて頂いたんですけど凄く面白いです!!1つ気になるんですけど56番てもしかして飛んでますかね…?違ったらごめんなさい。最後まで楽しく読ませていただきます♪ (2020年11月23日 21時) (レス) id: 6f285e02f0 (このIDを非表示/違反報告)
つゆ - 続編よろしくです。おもしろかったです。 (2019年3月2日 1時) (レス) id: 6044a23124 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ★mmiioo★さん» みっくんも、町を出れタイミングが訪れてしまいました(>_<)主人公の側で探すって宣言しなかった理由は、移行先で判明しますのでお時間ある時読んでやってください! (2017年4月17日 18時) (レス) id: 5b67c43cb7 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - このタイミングで・・・主人公ちゃんの近くで探す!とか言わないの?みっくーん! (2017年4月17日 8時) (レス) id: 84a8c23914 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - sioriさん» そうですね…お盆休みが終わると、一気に夏が終わる感じがしますよね(T-T)。本人はひと夏の恋にしないって決意してるので、温かく見守ってもらてると嬉しいです☆ (2017年4月13日 16時) (レス) id: 5b67c43cb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2017年3月24日 21時

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