Blue Lagoon

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部屋は年単位での契約だから、とりあえず東京に戻っても住む家はある。

でも、仕事は無い。貯金切り崩しながら再就職を探して…




「しかもさー…」



「ん？どうした」



「私、この町にいる間に30になる…」



「おぉ、まじ？俺もこの夏で32になるよ。一緒だな」



「…男の32と一緒にしないで。

ていうか、私は30だから節目だし」




男は、30越えてもまだまだこれから。むしろ男盛りの働き盛りって感じ。

でも女の子は違うんだから。特に、今の私には何も無いし。




「…つーかさ、Aうざい女になったな」



「…





えっ！？うざ…っ！？」




今までうん、うん、って優しく聞いてくれてたみっくんのいきなりの変わりっぷりに驚いて変な声が出た。




ムスッとして、ため息ついて、暗くて見えない海の方を眺めながら口を開く。




「30だから、無職だから、独身だから、だから何なんだよ。


メソメソして実家に帰れないとか私には何も無いとか言ってるだけじゃかくて、前に進もうとしろよな。


…Aと久しぶりに会えて嬉しかったけどさ、そんな女になってたなら会わないで思い出だけのが良かったわ」



「何それ…。私の事何にも知らないくせに！
医者のみっくんには分かんないよ。結局エリート様なんじゃんっ！


うざいとか思ってたなら、俺話聞いてやるよみたいな雰囲気出してこないでよ。

私だって、みっくんがこんな偽善者になってるなら会わずに思い出だけの幼馴染みのが良かった！おやすみっ」



「偽善者って…おい、A…っ」




引き留めてくれようとした気がするけど、それを無視して部屋に引っ込んで窓を閉めた。




イタい所を突かれてしまった。

医者になるのに、みっくんは私の想像以上に苦労してるんだろうし、この町で暮らしていく事も努力して今があるんだろうって。




そんな事は分かってる。




でもさ、完全に甘えきってた人からあんな風に言われて、真っ当に返す言葉が見つからなくて。





ケンカしちゃったじゃん。最悪…。。。

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