Blue Lagoon

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広海さんはランチの仕込みにってキッチンへ戻ってしまい、私はテーブルを片付けたり、普段なかなか出来ない細かい部分のお掃除。





しばらくして、レモンティー男さんが伝票を持ってお会計に来た。





「コレ、お願いします」



「はい。…ちょうど頂きます」



「…広海さんは？」



「え？」



「いや、広海さん」



「あ…お待ち下さい」





注文とお会計以外で初めて会話した…！！

いや、冷静に考えれば会話の内に入らないけど。





「太輔久しぶり。元気だった？」



「お久しぶりです。相変わらず広海さん忙しそうだったから、声かけれなかったです。

すいません。俺毎朝来てました」



「ふふ、知ってる。いつ声掛けてくれるかなーって待ってた」



「あははっ。俺も、広海さんから来てくれるの待ってた」





無愛想能面無口なレモンティー男さんが、広海さんとはニコニコ話してるし笑い声まで上げた…。広海さん恐るべし。




「あ、この子Aちゃんね。今年働いてもらう子だから、よろしくね。確か太輔と同じ年かな」



「…29？」



「…はい」



「ふーん…そっか。

今さらだけど、藤ヶ谷太輔です。よろしく」




まさかの私にまで笑いかけてくれた。びっくり。

そしてそれがかっこいいから無駄に緊張してしまう。




「…渡辺Aです…。よろしくお願いします……」



「そんなに警戒しなくて大丈夫よ。太輔は純情なの」



「ちょっと、広海さん余計なこと言わないでよ」



「いいじゃないー。

太輔ね、高校からずっと付き合ってる子が今ロンドンに留学してるから、毎朝海眺めて想いを募らせてるの。素敵でしょ？」



「へー。乙女…」





あ、やば。藤ヶ谷さんの顔が今ピクっとした。
そして広海さんはプッて吹き出して笑ってる。




「いや、違います。素敵です、彼氏の鑑です！」



「いーや、覚えておく。胸に刻み込んで忘れないからっ」





その笑顔は可愛らしくて。
同じ年だし、仲良くなれるかな？




この年になって新しい友達が出来そうなのが、少し嬉しかった。

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