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仕事が終わって給湯室でコップを洗ってると、玉森くんが来た。
「お疲れさまでーす」
「お疲れさま。終わり?」
「はい、さすがに初日は定時です。女の人も、定時同じなんですか?」
「ううん、私は一般職だから5時が定時。
でも
大体これくらいなっちゃうんだよね、要領悪いのかな」
自分で言って、情けない。ここに入社して、定時で帰れた日は指折り数えれてしまいそう。
「そんなことないでしょ、南さんは要領悪いんじゃなくて、仕事押し付けられ過ぎ?に見えますけど」
「…まぁ、下っ端だからね。パートさんたちも紗世さんも家庭あるから早く帰りたいのは分かるし」
「ふーん…」
初日なのに、なかなか鋭いな。ポワンとしてるのは見た目だけ?
「玉森くんもさ、明日から自分のコップ持っておいでよ。
気が向いたら、コーヒー淹れてあげるから」
「マジっすか?やったー」
今度はクシャって笑顔になった。
可愛いな、って素直に感じる。
「あ、…でも、俺マグカップ余分に無いや。
ってことで、南さんこの後お買い物付き合ってください!下で待ってるんで!」
「へっ!?え、ちょっと!」
もしかして、北山くんを越えるチャラ男なの?
勝手に決めて、私の手がまだ泡だらけでこの場を動けない事を良いことに、玉森くんは給湯室から出てってしまった。
「…強引だなぁ…」
だけど、あの日からガサガサだった心に、少しだけどポトンってお水が落とされた気がした。
「A、もーちょっと残れない?手伝って欲しいのがあるんだけど」
玉森くんを長く待たせるのも悪いし、急いで鞄を取りにデスクへ戻ると北山くんに呼び止められる。
「あー…ごめん、今日ダメ。明日ちょっと早めに来てでも間に合う?」
「え。あー…いや、予定あるならいいわ。ごめんな、お疲れ」
「ごめんね、お先に」
いつもなら、もう少しダダ捏ねて残れって食い下がってくるのに、今日は珍しくあっさり引き下がった北山くん。
さては、面倒だっただけだな。
北山くんって、そーゆうトコあるんだよね。
プリプリしながらエレベーターで下へ降りて、玉森くんを探した。
「あ…」
見つけた姿は、朝チラっと見かけたのと同じ。
桜の花びらが舞う中佇んでた玉森くんは、何だか男の子なのに、綺麗だった。
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さくらんぼ(プロフ) - Mayさん» コメントありがとうございます。とりあえず、しばらくは決めちゃいけないらしい設定にしてますので、グズグズ揺れまくってもらう予定です♪確かに藤ヶ谷さんが素敵ですね!私もそう思います(*^^*) (2017年1月1日 15時) (レス) id: 5b67c43cb7 (このIDを非表示/違反報告)
May(プロフ) - このままぐずぐず決められないままっていうのも幸せですー(*^^*)でも決めないと甘い時間も過ごせませんね…この設定だと藤ヶ谷さんが素敵に見えます! (2016年12月31日 13時) (レス) id: 8902c267d0 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ★mmiioo★さん» 誰にしましょうか、誰がいいかむしろ誰かに決めて欲しいくらいオチを迷ってます笑(>_<) 。 (2016年12月31日 11時) (レス) id: 5b67c43cb7 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - あらーみっくんモテモテにやきもち?玉ちゃんも気になってるし誰にするの〜? (2016年12月27日 23時) (レス) id: 84a8c23914 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ★mmiioo★さん» そうですね…確かに、ガヤさんが一番誠実で素敵☆ミこれから北玉の逆襲です♪ (2016年12月22日 8時) (レス) id: 5b67c43cb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2016年12月5日 20時