君と僕らの明日

45 玉森・side ページ45

シン…と、誰もいないオフィスが静まりかえってる。






「あの…」





その沈黙を破ったのはAさん。

表情は完全に困ってて、目が泳いでて、動揺しまくってる。






「ご、めん…。玉ちゃんとは、付き合えない…」


「なんで？」


「なんでって言われても…」


「じゃあ、ガヤさんとは？」


「へっ！？な、なんで藤ヶ谷さんが出てくるの…っ」


「…例えばだし」






ガヤさんだって、何の素振りも見せないようにしつつ絶対好きだもん。

そんなの、Aさんが好きで見てれば分かる。






そんで、Aさんも満更じゃなそうなのも。





「藤ヶ谷さんは、関係ないじゃん…」


「…ですね。

ごめんなさい、変なこと言って。忘れてください」


「えっ！？」






傷つくのが怖くて、逃げちゃった。

だって、女の子の事で挫折慣れしてないから。








「すいませんでした。


研修、頑張ってきてくださいね。お疲れさまでした」



「ちょっと、玉ちゃん…っ！！」






呼び止められるけど、その声は無視して、取りに来た資料とUSBメモリ鷲掴み。

そのままAさんを見ずに、部屋から出てった。






じゃあ、ミツさんは？

ほんとはこっちも聞きたかった。
でも、Aさんの反応を見て、こっちは聞く勇気が無くなった。






「何してんだ、俺は…。マジかっこ悪い」







心の中で呟いたけど、多分声に出てると思う。







明日から、Aさんは大阪行っちゃうんだよな。






あーぁ、終わったわ。ミツさんがこのチャンス、モノにしてこないわけ無いんだから。

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