君と僕らの明日

５ 玉森・side ページ5

「玉森くん、いくつ？中途って聞いてるけど、前は何してたの？」


「26です。年末まで、家電売ってました」


「へぇ。大変だろ、家電販売も」


「はい。退職の前日まで、ノルマに追われてました」


「なのに、また営業配属か。不運だったね、希望したの？」



「いえ…。機械強いからシステムとか、あとは広報とか。そっち希望したハズなんですけど…ねぇ」



「あはは、そっか。でも、うちの営業は新規開拓よりルートだから。関連会社とのやり取りが８割占めてるし、家電販売より良いんじゃない」



「そうですか、それなら安心です」



藤ヶ谷さんは、凄く話しやすいし優しい。この人が直属の上司になるみたいで安心した。




「あ、…玉森こっち来て。


広報と企画担当してる北山。色々お世話になること多いだろうから」



「北山です、よろしくな」



人懐っこそうな笑顔。良かった、やっぱこの職場は人間関係悪くなさそう。



握手して、小柄だからちょっと下から見上げてくる北山さん…ちょっと可愛いかも。
いや、変な意味じゃなくて。



「南ー、お前も挨拶しとけ」



北山さんが声をかけて、少し離れた席でパソコンとにらめっこしてた女性が近づいてきた。



「あ…」



この前、お茶出してくれた人だ。
今日は、あの時とだいぶ雰囲気が違う。栗色の長い髪がふんわりしてる、柔らかい空気。



「南Aです。経理と総務担当してます、よろしくね」



「…この前は、どーも」



この人、もしかして俺の事覚えてないの？
嘘だろ…。

でも、首傾げて困った顔してる。




「知り合い？」


「いや…んーと…ごめん、どっかで会ったっけ？」



マジか。ほんとに覚えてないんだ…



「入社前、契約の書類を出しに来たときお茶出してくれませんでしたっけ…？」




俺の言葉に、彼女は「あっ！」って閃いたらしい。

普通忘れるか？変わった人だわ。

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