君と僕らの明日

29 ページ29

学生の頃とかは、男の子に告白したりされたりすると、微妙に気まずい空気が流れたりしてた。

だけど大人になると、そんな事は一切無い。






「Aちゃん、この前の接待の領収書ね。よろしくー」




「備品の発注、まだ間に合う？あと、この後上の人が二人来るから、悪いけどお茶お願いできるかな？」






普通に日常が流れるし、逆にコキ使われてるような…






お昼休憩の時間になったけど、さっきいきなり会議で使う資料を作ってと言われて、鬼のようにパソコンとにらめっこ。

そこへ、鼻歌混じりの玉ちゃんが呑気に近寄ってくる気配を感じる。







「Aさん、ランチどうっすか？」


「んーごめん。明日の朝イチの資料作んなきゃだから、デスクで食べるー…」


「えぇぇ〜…せっかくAさんと行こうと思って美味しそうな店探したのにっ」


「んー…ごめんー…」


「じゃあ、今度行きましょうね」


「うん、いいよ」


「よしっ。じゃ、頑張って下さいね〜」






僕手伝います！とかないんかい。

でも、あの自由な感じが玉ちゃんのイイトコかな。
どんなに切羽詰まってても、ほっこりするというか。






「Aちゃん、ごめんね。急に変なの頼んじゃって。コレ、良ければ後で食べて」



「あ…りがとうございます…」


「無理しないでね」


「はい…」







藤ヶ谷さんが買ってきてくれた紙袋には、美味しそうなMIXサンド。
さすが、女子が好きそうなご飯まで分かるのね…

嬉しくて包みを開けてると、横の席にドンっと牛丼の袋が置かれた。






「何が無理するな、だっつの。そっちがいきなり押し付けた仕事だろ」


「北山くん…２つ食べるの？牛丼」


「わりーかよ」






何か不機嫌そうに牛丼を２つ並べて豪快にパクつく北山くん。
梅雨になってムシムシ暑いからかな、だからってアたること無いじゃん。








そして、食べ始めた野菜たっぷりのローストビーフサンドが美味しくて。






「餌付けされてんなよ」


「え？…そんなんじゃないもん」


「あっそ」







二つ目の牛丼に取りかかった北山くんは、何だかその日１日中機嫌が悪かった。

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す