君と僕らの明日

24 玉森・side ページ24

新入社員だし、と思っていつも気持ち早めに出勤してる。
朝は苦手だし、早く行って爽やかな後輩を演じるつもりもない。






朝早く行く理由は、多分…





「おはよ。玉ちゃん、いつも早いね」


「おはよーございます」


「お酒残ってないの？」


「はい、大丈夫です。何だかんだ、あんまり飲んでないし」


「ふふ、そっか」






Aさんがいるから。多分この朝の半プライベートみたいな時間が楽しくて、早く来ちゃうんだろうな。






「私の乗る電車、２本早めると混雑具合が全然違うの。
たまに座れたりするんだよ？凄いでしょ」







この人が早く来る理由はコレ。別に早く来たところで掃除してるとか、仕事始めてるとかじゃないとこが逆に俺は好感が持てたりして。

スマホでゲームしてたり、ネットサーフィンしてることが多い。





「そういえば、電話で言ってたことしてみました？」


「ん、何だっけ」


「ググってみて、って言ったやつ」


「あー…してない。めんどくさかったから」






ガク。５秒で出来るでしょ、そんなの。
せっかくミツさんが告白した(と思われる)のに、本気で伝わってないじゃん。






「じゃー…してみますかぁ〜」






悪戯心が沸き上がっちゃって、俺がスマホを出した時、後ろから低い声がした。







「…おい。玉森来いっ」


「あ、ミツさん。おはよーございます」


「あ、おはよ。何、怖いけど」


「お前まじふざけんなよ」






いつもの可愛らしい表情はどこへやら、ギロっと睨んで、自分のデスクに鞄を置きに行ってしまった。






「何あれ。感じ悪」






Aさんはそう呟いて、トイレ行ってくるって部屋から出てってしまった。






「…玉さ、なんでこんな早いの？」


「え、新人だからですけど」


「お前そーゆうタイプじゃないだろ。



…A…？」






なんか不安気に探るみたいに聞いてくるから、更に悪戯心が膨れ上がった。






「負けませんよ、ミツさんには。俺も自分の席行こっと」






色んな意味で驚いた顔したミツさんを横目に、
デスクに鞄を置いた。

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