アマレット (ページ6)

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７年前の春北山・side ページ6

卒業式は３月１日。慣れ親しんだ校舎とお別れをして、クラスメイトで仲の良かった奴らとそのままカラオケになだれ込んだ。

その中にはAもいたけど、理科準備室で会わなくなってから、少しだけ距離が出来た。

その距離は、結局埋めることは出来なくて…

Aは、俺とは違う大学に進路を決めていた。
だから、この日が過ぎたらだんだん会わなくなって、ケータイの番号が変わっても教えなくなって、疎遠になってくんだろうな。

絵里とは同じＡ大に行くし、こいつと繋がってればAともささやかながら友達としてなら仲良くしてけるのかもしれないけど。

「ねぇ、Aさっき理系コースの山田くんから告られてたでしょ！」

「えー…あー、うん…」

「まじか！山田って確かAと同じ大学行くんだよな？そこ分かってて言ってるんだろうから知能犯だ！」

「やめてよ、そんな言い方～」

「ねぇねぇ、返事したの？？」

「あんまり山田くんのこと知らないしさ、今度デートしてくる」

「きゃーーー！いいなぁ、青春～っっ」

離れた席でAを囲んで盛り上がってる。
その話題、もっとデカい声で詳しくやってくれ！気になるけど、俺は何となく入り辛い。

そしたら、俺の横に座ってた絵里が呆れたみたいな顔して呟いた。

「アンタがはっきりしないからじゃん…」

「は？何の話」

「ミツって意外と女々しいんだね。もっと男らしいんだと思ってた」

多分、絵里は俺とAのことを近くで見ていてヤキモキしてたんだろうな。
あいつは、Aの心の内も知ってるんだろうし。

フリータイムが終わって解散する時、俺はAにLINEをした。

俺俺が送るから。斉藤のこと撒いてきて

LINEを読んだであろう、Aがビックリした顔で俺を見た。

目があったけど、すぐにそらした。
そのまま解散して、俺と家の方面が同じ奴らは多いから、適当にその輪を抜けた。

「もしもし？斉藤とバイバイできた？」

『うん…』

「どこ？…うん、うん、分かった。そこにいて」

何か言いたそうなAを遮って電話を切って、言われた駅前の本屋へ向かった。

「A」

「あ…どーも」

「んふふ、何その他人みたいなの」

「だって…」

ファッション誌を立ち読みしてたAに声をかけると、ちょっと警戒されてる？
早く二人になりたくて、本屋から外へ連れ出した。