アマレット (ページ47)

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カーテンが開いて、ひょこって顔を出したのは北山くんだった。
目がバチって合って、どうしていいか分からず絵里を見る。

「ミツ早かったじゃん。定時？」

「あぁ。そっち、いい？」

「…うん」

なんで横に来るかな…絵里がこっち来てよー！
四人掛けだけど狭めのテーブルだから、少し動くと触れてしまいそう。

そういえば、このお店選んだのは絵里。絶対、確信犯だ！
しかも…

「さて。私ね、明日朝超ーーー早いの。だから帰るね」

「へっ！？ちょっと、…っ」

「じゃ、Aのことよろしくーおやすみぃ」

じゃーな、じゃないでしょ…っ絶対この二人グルだ。
北山くんが合流してから５分ちょっとで、絵里は帰ってしまった。

「…狭いし、私あっち側行くね」

「だめ。いいじゃん、カーテンあるから見えないっしょ」

「でも…」

「いいから。…てか、いて欲しいんだって」

真っ直ぐ見てくる瞳に負けた。
諦めてもとの位置に腰を下ろすと、北山くんはからかうみたいに笑った。

「そんな警戒しなくても、許可なく触ったりしねーよ」

「そんなんじゃ…ないけど。
ねぇ、今日のこれは何なの？はじめから北山くんが来たら、絵里は帰るって話になってたの？」

「うん。だってさぁ、仕事絡まないとAは俺のこと避けるじゃん。
だから、超カッコ悪いけど絵里に頼んだ。

あいつは、はじめは嫌がったんだけどな。彼氏いるからって。
…でも、１回でいいからって」

あ…どうしよう。嬉しいのと恥ずかしいので、だんだん顔が熱くなってきた。

気づかれたくなくて下を向いてると、北山くんは少し寂しそうに笑った。

「でも、無理矢理過ぎたみたいだな。ごめん」

「避けてるのかな…ごめん。ムカついたでしょ」

「んふふ、ムカつくっつーより、傷つくかな。
そんなに嫌がらなくて良くねっ！？って」

「じゃあ、飲もう！せっかくだからね」

あんまり強くないけど、その日は私にしては相当飲んだ。

北山くんがいることでテンションがおかしくなってることと、仕事とか真人くんとのこととか貯まってるものを全部打ち払うみたいに。