アマレット (ページ39)

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プライベートで繋がるのは絶対やめようって思ってたのに、仕事をしてる上で避けては通れない行事がある。

「朝比奈さん、明後日早番だよね。夜空いてる？」

「あ…はい、大丈夫です。どうかしましたか？」

ほんとは、真人くんと会う約束してた。
でも、デートだから空いてませんとか言いにくい。
それに、店長からそうやって聞かれるときは９割の確率で…

「じゃ、接待だから。飲みに行ける格好で来て」

「はい。…

え、遅番とシフト交代じゃないんですか？接待？？」

「え？うん。松岡さんが飲みに行きましょうって。シフトの事かと思った？」

「はい…でも、私あんまり飲めないんですけど…」

「だーーいじょぶ！ていうか、男だけで飲んでもつまんないじゃん。

接待っていうか、交流みたいな？松岡さんと北山くんが来るだけだから気遣わなくて良いから」

まじか…逆に、緊張するんですけど。
でも、もう決定事項みたいで選択の余地はない。

休憩時間になって、真人くんに明後日のデートは行けなくなったことを電話で伝えると、間が悪かったのかめずらしく怒ってしまったように感じた。

『仕事なのは分かるんだけどさ…やっぱ、ガッカリする』

「ごめん…さっきイキナリ言われたから、断れなくて」

『それって、松越デパート絡み？』

「うん、そう…。本社的にもね、松越デパートと関わるの初めてだから、契約期間が終わっても、また何らかの形で関わり持ちたいって思ってるみたいで」

『ふーん…。

ごめん、ちょっと仕事で色々あったから、八つ当たりした。
俺も、そういうこと今までにあったよな。
仕事してればよくあることだよな』

「…ごめん…。終わったら、連絡するから」

『俺ん家、帰って来て』

「え…でも、何時になるか分からないし…」

『いいよ、俺次の日休みだから時間気にしないし』

「…うん。行けたら、行くね」

ほんとに、こんな真人くん珍しい。
正直なところ「そうなんだ、了解～」ってすんなりデートは無しにできると思ってた。

だって、私今までに何度も仕事でデートのドタキャンされてるけどゴネたこと無かったじゃん。

『…行けたら、ね。わかった。時間は、ほんとに何時でもいいから』

「……分かった。じゃ、そろそろ仕事戻るね」

電話を切って、ため息をついた。