アマレット (ページ35)

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自覚北山・side ページ35

「山田くんと別れてからのことは、Aから直接聞いてね。話していいのか分からないし。

でも、Aは今すごく素敵な彼がいて、幸せそうだもん。
だから、できれば私は邪魔してほしくない」

そっか…結婚はしてなくても、彼氏はいるんだ。
そりゃ、いるよな。あいつイイ女になってたもん。７年ぶりに会ったのに、一気に気持ち持っていかれるくらい。

「ごめん、それは無理だわ」

「えっ？」

「結婚してないなら、問題無しだから。彼氏がいるなんて障害じゃねーし」

「本気で言ってるの？Aの彼、凄く素敵なんだよ？ミツみたいにチビじゃないし。
敵わないから止めておきなよ」

身長は関係ないだろが。でも、それはグッと飲み込む。

帰り道、絵里との会話について考える。

多分両思いだったこと

山田とはヤケクソで付き合ったってこと

結婚はしてないけど、素敵な彼氏がいること

今の彼氏と付き合う前、何か嫌なことがあったんだろうな。

また、鳴らないスマホを見つめる。

いきなり会いに行っちゃう？
そう思って時計を見たら、もう本屋は閉店してる時間だった。

そもそも、今日が仕事なのかも分からないけど。

とりあえず確実に会えるのは今週末の打ち合わせの日。

女の子はさ、楽しみな日が来るまでにパックしようとか、洋服買いに行こうとかするけど、

男って、大事な日の前には何かするんだろうか。

…なんて、そんなこと考え出すなんて重症だわ。