アマレット (ページ33)

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自覚北山・side ページ33

別の日の仕事帰り、渋谷のコーヒーチェーン店で持ち帰ってきた書類作成をしながら待ち合わせをする。

しばらくして、懐かしい声がした。

「ミツ！久しぶり～待った？ごめんね」

「おぅ。いや、全然。何飲む？」

「うそ、奢ってくれるの？やったー。
大人の男じゃん」

「飲み物１杯で誉めてもらえるなら安いわ」

二階堂と別れた後、久しぶりに絵里に電話をした。

大学は同じだったけど、学部も違うしマンモス校故に顔合わせる機会も減ってた。

卒業してから、こんな風に会うのも初めてかも。

絵里が指名したコーヒーを持って席へ戻る。

「はい、どーぞ」

「ありがと。…で、どうしたの？いきなり連絡してきちゃって」

「うん…あ、仕事どうよ？まだ栄養士続けてんの？」

「仕事は…まぁ、ぼちぼち。小さい病院だからアットホームだし楽しいよ」

「あー大病院だと人間関係とか大変そうだよな」

「そうそう…まぁ、そうなんだけど…何なのよ？話って」

「…急かすなよ。言いにくいんだから」

俺の言葉に、絵里は目を上げる。
その目は、何となく軽蔑の眼差し。

「ミツ…まさか、ついに誰か妊娠させちゃったとかじゃないよね？！」

「はぁぁ？まさか、ンなわけねーだろ！
そんな猿じゃねーし」

「…大学の時酷かったもんね。アンタと友達だなんて迂闊に言えなかったし。

自覚、ある？」

「んー…あるような、ないような？」

確かに、あの四年間はやりたい放題だったよな。
抱き捨てるって言葉がぴったりだった時もあったし。

「で、そんな北山くんが話しにくいのってどんなこと？」

「…Aと、連絡取ってる？」

「…時々。あの子も忙しいし…」

「アイツさ、結婚してんの？」

そしたら、絵里はギロって感じで鋭い視線を向けてきた。