アマレット (ページ4)

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７年前の冬北山・side ページ4

俺と絵里が？ありえん…
でも玲美ちゃんは時々嫉妬してたな。

絵里と玲美ちゃんってビジュアル的なジャンルが近いから。

「まさか。絵里、長い彼氏いるだろ」

「うん。でも、それ聞くまでは二人がカップルって思ってたよ。

ま、本物の彼女も綺麗な子だけどね～」

からかうみたいに言われて、動揺する。
なんか、ダメなんだよ。Aとはこれ以上玲美ちゃんの話をしたくない。

「俺の話はどーでもいいからさ。そっちは？彼氏元気？」

「あー…うん、元気は元気だよ」

「冬休み会いに帰った？それか、彼氏が東京遊びに来たとか？」

Aは、前の学校から付き合ってる彼氏がいる。
あまりキチンと聞く事も無かったけど、ほんとはずっと気になってた。

「…別れたんだ。冬休み入ってすぐに彼がこっち来てくれて」

「え…」

「新しく、彼女が出来たんだって。後輩の子でさ…

やっぱダメなのかな。遠距離って、むずかしいみたい。
北山くんが羨ましい。好きな人が、いつも側にいるんだから」

別れてからあまり日が経ってないからか、Aは何となく涙目な気がする。

「距離なんて関係ないだろ…続くとこは続くし、別れるとこは別れる。

それに、近けりゃいいってもんじゃないだろうし」

「ふふふ、傷抉るね～…」

「…」

俺の心無い言葉のせいなのか、Aの目から涙が溢れた。
それを見られないように必死で隠す姿が無性に愛しく思えた。

「ごめん…A、泣くなって」

「信じてろって…距離なんか関係無いって言ったのはあっちなのに…

酷いでしょ？俺を信じろって言ったくせに、たった４ヶ月で他に彼女作ってるって…っ」

沈みかけた夕陽に彼女の涙が光って綺麗とか思っちゃって
吸い寄せられるみたいに、その涙を指で拭った。

この時から多分、俺の心の中ではAのことが少しずつ特別になっていったんだと思う。