アマレット (ページ19)

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過去の呪縛…？
そう言われてしまえば、そうなのかも。
半ば意地になってるとか？

「Aには、真人くんがいるでしょ！
あんなにかっこよくて優しい人なのに、浮気なんかしたらバチ当たるんだから」

「うん…そうだよね。ごめん、ありがと」

さっきの真人くんからのデート、断らなければ良かったかなぁ…。
少しだけ後悔した。待ってて、って言えばきっと待っててくれただろうし。

午後の時間もどんどん過ぎていって、21時の閉店を迎えてから、店長に朝言われていたシーズン棚の構成をパソコンで作る。

案自体は出来てたから、あとは紙面にするだけ。
それでも時間は少しかかるから、終わってお店を出たのは23時の少し手前だった。

夜ご飯もまだ食べてなかったから空腹の限界。
さすがにこんな時間から渉に何か食べさせてって行ってもキレられるだけな気もする。

こんな時、一人暮しって辛いって実感する。
だって、帰ったらご飯食べて、片付けて、お風呂洗って、洗濯だもん。
世の中の働く奥様って凄すぎる。

そんな事を考えながら、裏口から出たとき電話が鳴った。

「あ…。
もしもし、どうしたの？」

『ん、お前遅くまで働いてんだなぁ。振り返って』

「え…あっ！」

振り返ると、そこにいたのは真人だった。
確か今日は仕事早く終わるって…

「え、なんで？待ってたの？」

「おー。結局あの後商談が入ったから、結局残業になったわ。

だから、時間的にちょうど良いかなって思ったけど、ピッタリだったな」

「びっくりしたぁ…」

「明日、A遅番なんだろ？泊まりにおいでよ」

「何で分かるの？」

「こんな時間まで仕事して、明日も早番は無いかなーって思って」

５才年上の真人くんは、カーディーラーをしてる。
優しいし、かっこいい。友達の結婚式の二次会で出会った人。
彼の年齢的な事もあって、時々結婚も匂わせてくるけど、踏ん切りのつかない私はそれをかわしてしまう。

一緒に帰って、途中で買ったお弁当をお家で食べて、お風呂に入って寝る。
時々体を重ねて、この人と将来結婚すれば、きっと私は幸せになれるんだろうなとは思う。

だけど…
やっぱり、今はまだ無理だ。