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目が合って、嬉しいやら恥ずかしいやら、とにかく戸惑ってしまって泣きそうになるのをグッと堪える。
でも、そんな私とは対照的に、北山くんはふんわりとした笑顔を向けてくるだけ。
仕事中だから？
それとも、気づいてないの？
「あ…こちらです、どうぞ」
とりあえず、店長から言われた通り二人を商談室へ案内した。
お茶の準備をしようと給湯室へ向かうと店長が駅ビル会議から戻ってきた。
「朝比奈さんも、この打ち合わせ参加して。お茶４つね」
「はい…」
お茶を持って商談室へ入ると、３人は穏やかに談笑していた。
北山くんは昔と笑い方も変わってない。
目尻にちょっとシワが入るんだよね。
だから、そっくりさんじゃないはず。
「朝比奈さんも座って。では、本題に入りましょうか」
「はい。
えー…改めて、松越デパートのバイヤーをしております松岡と申します」
「北山宏光と申します」
「責任者は私ですが、直接的な取引や打ち合わせはこの北山が担当致します」
「よろしくお願いします」
「三星堂銀座で店長の飯田です。北山さん、よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
「基本的には私が今回の件は担当ですが、補助にこの朝比奈を付けようと今思い付きました」
「え？店長、私何の話か…」
「まだ若いですけど、仕事もきちんとこなしますし売り場を作るセンスもなかなかなので、お役に立てると思います」
「…よろしくお願いします…」
何の打ち合わせ分からずいきなり呼ばれて、ただでさえ動揺してるのに。
でも資料を渡されて、３人が軽い話をしてる間に内容を読んで、何となく理解した。
松越デパートに本カフェを出店するため、うちのお店と提携するってことらしい。
「あ、理解した？内容」
「はい…何とか」
「カフェの責任者と、うちの北山と、恩社でどんな本を置くとか配置をお願いします。
カフェといっても一般のお客様全体向けの店ではなくて、松越ゴールドカードを所有してる方に利用して頂く無料のリラックススペースとなります」
さすが、銀座で老舗のデパート。素敵なサービスを思い付くもんだな。
机に置かれた北山くんの名刺をチラっと見ると、
『広報部 お客様課 北山宏光』
そう書かれていた。
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作者名：さくら
| 作成日時：2016年9月30日 15時
