アマレット (ページ2)

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７年前の夏北山・side ページ2

Aと仲良くなるのには、時間はかからなかった。

「ねぇ、Aだよね？中学同じだった！」

「絵里だ！久しぶりー！！」

まさかの、絵里と同じ中学出身。
絵里は中学卒業と共に山梨から東京に来た。

二人は約３年ぶりの再会を喜んで、懐かしんで、Aのアクの無い性格もあって、すんなり絵里の仲良しグループに溶け込んでいった。

「ヒロくん、転校生どう？可愛い子だった？」

「んー…可愛いけど、玲美ちゃんのが全然圧勝」

「もーチャラいんだからー」

顔はさ、ほんとに玲美ちゃんのが可愛いよ。
でも…

「今からヒロくんのお家行ってもいい？」

「…お前、塾は？」

「さぼっちゃおっかなぁ」

「わり。今日はかーちゃん昼勤だからその内帰ってくるわ」

「えー…最近お母さん夜勤減らしてるの？つまんなーい」

かーちゃんは看護師で、親父は単身赴任で大阪だから普段はいない。
夜勤の日はよく彼女を家に呼んでたし、夜遊びとかもしてた。
夜勤の頻度は変わらないけど、何か最近はそーゆう事したいとか思わなくなってきてた。

「やば。俺、枯れたか？」

「枯れたんじゃね？

…それか、もう玲美の事好きじゃないとか」

「別にそーゆうワケじゃないけどさ…」

玲美ちゃんを家に送ってから、幼馴染みで同じ高校に通う二階堂の家に遊びに行った。

「でも、前より熱量確実に減ってると思うよ。

ミツ、玲美の話しなくなったし」

「…そうか？つーか、お前と女の話なんかしねーじゃん」

「敢えてはしなくても、自然とやっぱ出るでしょ」

「…お前、玲美ちゃんに余計なこと言うなよ」

玲美ちゃんと二階堂は同じクラスだから、余計なこと話されると面倒くさい。

お互い別々の漫画読みながら話してたのに、いきなり二階堂がパタンと本を閉じた。

「ね、何で玲美に未だに〝ちゃん〟つけてんの？」

「え…」

「絵里だろ、舞子、百合、未央、…あと、A！

転校生まで呼び捨てしてんのに、何でヒロくんは私の事いつまでも〝玲美ちゃん〟なんだろうって気にしてたぞ」

「なんだよ、それ。〝ちゃん〟ついてる方が可愛いくね？」

「クラスの女子との扱いに差を感じるんだとさー」

彼女とクラスメイトじゃ扱い変わるの当たり前じゃん。
女の子って、めんどくさい。