Miel マカロン ３

141 ページ41

それだけで体を離したら、すっっごい不満そうな顔で見てきた。



北山「何それ。お前のキスはそんなんか」



「だって…本当のしたら、連れて帰ってほしくなるもん」



こんなセリフ、普通なら絶対言えないんだけど…
多分、このシチュエーション。
わざわざ仕事終わってから疲れてるのに会いに来てくれたのが、私が思ってる以上に私は嬉しいんだと思う。



みっくんは少し目がパチクリして、その後笑った。



北山「はぁ、まーた負けたわ、Aの魔性っぷりに。


出よっか、外」



「魔性じゃない。本心なのに…」



北山「わかってますー。ほら、おいで。

送るわ、帰ろう」



差し出された左手に、手を重ねた。



北山「今度の土曜さ、試験休みに入る前の練習試合なんだよね。

A、遊びにおいでよ」



「そうなんだぁ。結構ギリギリまで部活するんだね」



北山「うん。生徒は試験前２週間とか休みにされると、逆に遊んじゃって勉強出来ないって。


もちろん、この１週間の練習は有志なんだけどさー…あんまり休むヤツもいないんだよね」



「へー…みんな、ドＭだね。追い込まれなきゃ勉強できないって」



北山「そうそう。今年から外部のコーチも週２で来てくれてるしさ、やっぱ楽しいらしいよ。


たまに、あいつらもAのこと言ってるし。練習とかも見に来ないねーって」



「うん…行こっかな、土曜日。みんなの成長をチェックだな！」



北山「偉そー。もう忘れただろ、ポジションとか、ルールとか」



「…復習して行きます」



公園から家まではほんとに近いから、もう到着する。
ここを曲がったらもう家の前って所で、みっくんは立ち止まった。



北山「ありがと。わざわざ出てきてくれて。

最近A不足だったけど、ちょっと回復した」



「うん…私も。来てくれて嬉しかった。

何かさ、違うって分かってたけど、ほったらかしって心の何処かで思ってた。

だから、ありがと」



北山「ほったらかしたつもり無いけど…まぁ、変な風に考えるな。

前も言ったけど、言ってもらえないのが一番嫌だからな」



角を曲がってからは手を離して、帰って行く後ろ姿を見送った。



ずっとモヤモヤしてた気持ちが、こんな少し会っただけで解消されるなんて。

安心したら一気に睡魔が襲ってきた。



今夜は、ぐっすり眠れそうな気がする。

142 北山先生・side→←140

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す