lucky color

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スマホを見ると、北山くん。



『どこ？帰るなら駅まで送るから』



は？別にいいし…。そんなに遅い時間じゃないし、人通りもあるし。



「一人で帰れるから大丈夫だよ」



『送るから』



このやり取りを、数回。



『いいから。どこ。怒るよ』



もう、軽く怒ってるじゃん。
すぐ横にあるコンビニの名前送って、お店の前で待ってると北山くんが来た。



北山「ごめん、お待たせ」



「…そんなに待ってないよ。２軒め行かないの？」



北山「行くよ？だから、今日は駅までね」



「すぐじゃん…。ほんと、良かったのに」



北山「うん、でも、約束したじゃん」



「約束？」



北山「高橋を送るのは、俺って」



ニコって笑ったのを見て、ダメだ、私。きゅーんって胸の奥が痛くなった。
この先報われることが無いのなら、もう一緒にいちゃダメだ。



駅まではほんとにすぐで、あっという間に到着してしまう。
なのに、私もだけど、北山くんも口を開こうとしないから無言で歩く。



「北山くんさ…」



北山「ん？何？」



「…消えるといいね。さっき言ってた、心の闇…」



北山「あぁ…あはは、うん。そーだな」



また、沈黙。
黙ってるから、駅着いちゃったよ。




北山「気をつけて帰れよな」



「うん。北山くんも、気をつけてね」



北山「え、俺？何にだよ(笑)。…うん、気をつけるわ」



今日でこーやって送ってもらうの、最後にしてもらおう。
このまま続けてたら、ほんとに気持ちが大きくなっちゃう。
後戻りできる内に、何とかしなきゃ。



地下鉄への階段を降りようとしたら、手首を掴まれた。



北山「待って」



「…？うん。何？」



北山「ごめん、さっき」



「…何が？」



いきなり謝られて意味がよく分からない。
そしたら、北山くんは少し笑うと、手を離した。



北山「…わかんないなら、いーや。おやすみ」



そのまま立ち去ろうとするけど、何か納得いかなくて今度は私から北山くんの手首を掴んだ。



「ちょっと待ってよ！…いつも、そーやって変に意味深に残してくの…やめてよ」



北山「高橋…」



「人のことナシって言ったくせに、何でこーやってどうでもいい距離送ってくれるの？」



北山「それは…」



「約束したから？１番の友達だから？そんな理由だったら、やっぱり前に戻る」



北山「前にって？」



「必要以上に、近づかない関係だよ」



多分私は、泣きたいのに泣けてないと思う。

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