lucky color

26 北山・side ページ26

ストライクと言っても、高橋はドストライクじゃない。
鋭角ぎりぎり、ボールか迷って…ためてためての〜ストライク！って感じ。


顔は正直タイプだよ。本人自覚無さそうだけど、顔だけは同期の中かなり上。
本社の秘書室配属になった時点で、そこは本人も察しろって感じ。


本来の俺は、背が低くて、ボンキュボンで、甘えた声で、俺の事だけベタベタに好き過ぎる子がタイプ。
高橋は、俺より背は低いけど小柄じゃないし、普通に見る限り隠れ巨乳でも無さそうだし、声も落ち着いてる。
極めつけは、俺の事、絶対嫌い。



…今は、普通くらいまでに昇格したよな？



彼女じゃないけど、たまに遊ぶ女の子も、そーゆう子ばっかり選んできた。



何だか自分の中でどんどん勝手に大きくなりそうな高橋の存在が脅威で、俺はスマホを手に取った。



『今夜、そっち行ってもいい？』



所謂、そーゆう友達。高校からの同級生で、一応女優の卵。
高校時代はほとんど面識無かったけど、１年前偶然街で出くわして、お互い相手もいなくて、月に何回か体を重ねる関係になってた。



本当に申し訳ないけど、俺は彼女に恋愛感情はゼロ。
あっちだって、女優になるって夢追いかけてるからキチンとした彼氏作る気なくて、でも寂しさ埋めたい時もある。
だから、俺らはお互いがちょうどいい。



ちなみに、その子は俺のタイプにがっちり一致。俺の事、ベタベタに好きだってとこ以外はね。



すぐ返事は返ってきた。



『いいよ。８時くらいには家帰れると思うから』



大丈夫。他の子とそーゆうことすれば、絶対本来の俺に戻れるはず。



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仕事を終えて、会社を出た。
帰りにチラッと受付を見たけど、高橋達一般職の定時はとっくに過ぎてるから、当然もういない。



帰る前、少し会いたかったような、でもそーゆう友達に会いに行く前だからいなくてホッとしたような。



「よし、花菜(かな)！俺は今から、花菜！」



何も考えないようにしながら、まっすぐ花菜の家に向かった。

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