結果的に Ki ページ4
〜Ki・side〜
あれ以来、時々来ていたAちゃんからのLINEは一切来なくなった。
『家着いた?』
あのまま帰ったか不安になって送ったLINEに既読がつかないまま。
数日はダメだったけど、時間が経つにつれてやっと心が現実を受け入れ始める。
『別れよう』『そうだね』
という合意の会話は交わさなかったけど、多分俺たちは別れたんだって。
その証拠が、既読がつかないこのLINEなんだって。
俺の負担が減るようにって身を引いてくれたAちゃんのために、俺は仕事に更に没頭するようになった。
1日必死で働いて、家に帰ったり休みの日はバタンキュー。
他にすることがないから、気持ちが全部仕事対して集中する。
時間の問題だったのか、俺の努力が認められたのか、だんだん職場の仲間や生徒達との壁も無くなってきた。
もともとの根本がサッカー好きな人の集まり。
その気持ちさえしっかりして、真剣に取り組んでいれば心が通うのも早かった。
そして約3年経った。
正社員として就職。契約社員の間は小学生チーム担当だったけど、正社員に変わってからは中学生チームの担当へ昇格。
お陰さまで生徒達からも慕われてるし、先輩達からは可愛がってもらえてる。
レッスンが終わって更衣室へ行くと、中学生チームトレーナースタッフの大倉がちょうど着替えてた。
大「お疲れー。ミツ、飲みに行かね?」
「お疲れー。いいけど、女いないよな?」
大「も、その確認いらないから(笑)。お前と飲む時は女呼ばないって。いたら来ねーじゃん」
「…うん、だな。悪いな」
大「別にー。おかげでミツと飲むって言えば咲は安心するから遊びやすいし」
「あっそ。あんま、俺の事使うなよ!こじれても知らねーからな」
大倉は、生徒が怪我をしたら手当てしたり、ストレッチ指導したりの影のフォロー役。
体育系の専門から新卒で入ってきて、俺と同じ年。すぐ仲良くなった。
Aちゃんと別れてから、俺は誰とも付き合ってない。女の子がいる飲み会には顔出さないようにしてるし、もしいたとしても、できるだけ関わらない努力してる。
おかげで大倉の彼女の咲ちゃんからは、
『ミツ君がいる飲み会なら安心だね!』
とまで言わしめてしまった(笑)。
何でそんな風になっちゃったかって?
決まってるじゃん。
Aちゃんのこと、全然諦めてないから。
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作者名:さくら | 作成日時:2015年11月4日 21時