ｉｆ… (ページ21)

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距離を縮めるＫi ページ21

～Ｋi・side～

最初に生徒が桜グッズくれてから何日かで、やたらと集まってしまった。
はじめは受け持ちの中学生だけだったけど、噂が広まって小学生やら、その保護者やら、しまいには事務のおばちゃんまで。

発端の大倉も、日に日に増えてく身の回りのピンクに若干引きぎみ。

大「…お前、パー子だな…」

貰ったからには使わなきゃと。それを見た大倉からの痛烈な一言。

「誰のせいだよ。お前マジ余計なこと吹き込むなって」

大「ん？でも嬉しいだろ？俺がちょっと言っただけでこんなに集まってくるって、北山コーチ好かれてるぅ♪」

…うん。確かに、そうか。

でも、さすがにこんなにあっても困る。
もしもAちゃんと再会して、渡せれば機会があればプレゼントしよっと。

そう決めてからチャンスは意外と早く訪れた。

一旦別れて再度待ち合わせしてから現れたAちゃんは、さっき桜の下で会った時とは別人だった。

超ナチュラルだった服も女の子らしい雰囲気に変わり、下ろしてただけの髪も可愛く巻かれてた。メイクも少し違う。
一応、元カレだから分かる。
ちゃんと、デート仕様で来てくれた。

自然とテンションも上がってしまう。
こんな単純な自分にため息も出るし、思わず手繋ごうかとか思ってしまったよ。

そりゃあ、期待しちゃうじゃん。
でも今はダメだ。３年のブランクを埋めなきゃ。まず、信頼関係を取り戻すのが一番。

仕事のこと、共通の友達の事、話が尽きない。
その流れで、この桜グッズをプレゼント。
量にびっくりしてたけど、嬉しそうに受け取ってくれた…ような気がする。

「…Aちゃんは？どんな３年送ってたの？あんまり自分のこと話さないじゃん」

あ「…だって、グレーだもん」

「どういうこと？」

あ「そのままだよ…」

北「…誰かと付き合った…？」

「…うん。付き合ったよ」

いないはず無い。一番恋愛楽しい時期だよ？

でも、本人の口からいたって聞くと正直…ちょっとへこんだ。