別れの理由 Ki ページ2
〜Ki・side〜
あれから3年の月日が流れた。
あんなに絶対に離さないって思ったのに、あっけなくAちゃんは俺の腕からすり抜けてしまった。
別れた理由は、よくあることなのか。
俺の仕事による環境の変化があまりにも多過ぎて、すれ違いが増えて誤解や不安が募ったことが大きな要因だと思う。
今までいたカフェやフットサルチームのバイトとは全然違う。
指導者として招かれたけど、まだ信頼関係築けてない生徒との壁は相当高かった。
みんな、甘い気持ちでサッカーをしてない。
Jリーグ、海外チームを最終目標にしてる子供ばかり。そんな彼らから、いきなり来た俺は受け入れ難い存在だったんだろう。
どうすれば受け入れてもらえるか、信用してもらえるか、頭の中それでいっぱいで、毎日必死。当然肉体的にも精神的にも仕事が終わるとどっと疲れが出るから、イライラしたり、当たったり、眠かったり‥。
Aちゃんの誕生日も、お祝い出来なかった。気づいた時には、もう二日過ぎてた。
その時は、いいよって笑って許してくれた。
バレンタインデーは、一生懸命作ってくれたチョコレートケーキを持って家で待っててくれたのに、先輩からの飲み会が断れず長引いて帰れなかった。
明け方家に帰れた時には、もうAちゃんの姿は無くて、ローテーブルにケーキの箱が置いてあるだけだった。
その時から、だんだん雲行きが怪しくなってきて。
一応ほぼ毎日来てたAちゃんからのLINEも減って、会いたいって気持ちを出さなくなってきた。
でも、当時の俺は馬鹿すぎてAちゃんの変化にも気付かない。
例えば、今。
今なら分かるんだよ。
Aちゃんが必死で俺との距離を縮めようとしてくれてたこと。
疲れてること言い訳にして冷たくしても、俺らの関係が壊れないように努力してくれてたこと。
でも、やっぱり、当時の俺は若すぎたのか気づけなかった。
一緒に見ようと思ってた桜も、結局蕾か開く前にAちゃんから別れようと言われてしまった…。
339人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら | 作成日時:2015年11月4日 21時