第46話 ページ46
時は過ぎ、放課後。こじんまりとしたキャンバスの中ではタイピング音だけが響く。パソコンの前に死んだ魚の目をして座っているのは紛れもなくアリスである。
何故こんなことになったか。答えは明確だ。アリスの1時間の授業で居眠り回数10回を超えてしまい、カンカンになった教師からレポート提出を課せられたからである。
『何でよりによってあの教授の前で寝ちゃったかなぁ……』
皮肉にも、居眠りを繰り返したおかげで今は目が冴えている。レポートのテーマもさほど難しいものではなかったので、もうそろそろ終わりそうだ。
時計を見る。きっとクリス達の小学校の授業も終わる頃だろう。一緒に帰る約束もしたので、遅れてなんかいられない。
『よーし、終わった！』
「お疲れ様、アリス」
椅子に仰け反って上を見上げたアリスの目線の先に、ニコニコ顔のダンが立っていた。
『わあ！？ダニー！？』
「残念、ダンだよ。ちょっと惜しいね」
いつから居たのだろう。あまりにも自然にお疲れ様、なんて言うものだから答えてしまったものの、アリスの心臓はバクバクと波打っている。眠気は完全に吹っ飛んでいった。
『ごめん……ダニーは弟の同級生だった』
「そっか、アリスには弟が居るんだよね」
『クリストファーよ。いつもはクリスって呼……』
アリスの言葉が、ダンの腕時計……否、無線機の音で遮られる。ダンは失礼、と一言残して、そそくさとアリスの前から離れていった。
「もしもし、こちらスチューデント……は？小学校に教師ロボットが現れて教室からポイされた？警察呼んだ？何を言ってるんだお前」
データの入ったUSBを抜き取りパソコンを閉じる傍ら、アリスは耳をすましてダンの通話を聞く。自分をスチューデントなんて言ったり、小学校にロボットがどうのなんて言ったりと、怪しさが際立つ。
何より、ここの近くの小学校と言えば、クリスが通う学校くらいしかない。アリスはこそこそとダンに近付き、口を挟む。
『小学校って、すぐ近くの？』
「だああ！？お、驚かすんじゃねえよ！！……ゴホン、何も気にしなくていいよ」
「おい聞いてるのかスチューデント、今すぐ協力要請を」
『うるっせえな！！“オレ”の知ったことじゃねえ！！』
ブツリ、と勢いよく無線機の着信を切ったダンには普段の飄々とした様子は欠片もなく。そのことに時間差で気付いた彼は、自分の後ろでぽかーんとしているアリスを振り返った。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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