第45話 ページ45
『ふぁ……あ』
「お姉ちゃん、また夜更かししたの？昨日は寝るって言ってたのに」
『あはは……ちょっとワケありで』
何度目か分からない欠伸を繰り返すアリスに、クリスはスクランブルエッグを口に運びながら首を傾げた。夜更かししたのは簡単に予想できるが、課題で徹夜した時は一周回ってピンピンしているのに、今回は酷くやつれている。無理やり作られた笑顔にも生気が見られなかった。
そんなクリスは、昨夜アリスがエミーの恋バナに延々と付き合わされ、結局眠らせてもらえなかったことなど微塵も知らないのである。アリスも言う気力すらなかった。
「お嬢様、いい加減にしないと体を壊しますよ？ほら、フルーツでも食べて栄養摂ってくださいね」
『ありがとう……エラさん』
アリスが寝ぼけ半分で目覚めに良さそうなオレンジを1個手に取った。タナカの話し声と足音が近づいてくる。彼は誰かとの電話を切ると、クリスとアリス、そしてエラがいるリビングへ入ってきた。
「本日の午後、旦那様と奥様がお二人に会いにお帰りになるそうです」
「！パパとママが帰ってくるの！？」
「良かったわね、坊っちゃまにお嬢様！」
『久しぶりね、何ヶ月ぶりかしら』
オレンジの皮を剥きながら、アリスはクリスの嬉しそうな声を聞き笑顔を浮かべる。彼女自身もまた、両親との再会は嬉しく思っていた。
しかし、心配要素がひとつ。
それにほとんど同時に気付いた2人は、輝かせていた表情が少しずつ曇っていく。
「……何か不安でも？」
「ううん、何でもない！ご馳走様」
「フルーツがまだ……」
「エラ、美味しかったよ！」
珍しく朝食をほとんど残したクリスがリビングを出ていく。エラとタナカが顔を見合わせて首を傾げる中、唯一彼がどこへ向かったか察したアリスは実が
＊
『もう、慌てて階段降りちゃダメでしょ』
「お、お姉ちゃんだってこの前転んだじゃない」
『う……それは今はいいの！』
屋根裏部屋から降りる時に転んで強打した腰をさするクリスにアリスは説教したが、かつての自分の醜態を指摘されると言葉を詰まらせた。
『……そういえば、ソニック達は納得してくれた？』
「うん。皆ならきっと大丈夫だよ」
『それなら良かった！今日は早く帰りましょうね』
「うん！」
久しぶりの両親との再会に心を踊らす2人は、これから起こる事件のことなど知る由もない。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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