第24話 ページ24
『は、速っ！速すぎるよ！』
「急がないと遅れるんだろ？」
『そりゃそうだけ、うわっ！』
そんな会話の合間に軽く宙に浮いたかと思えば、目の前は既に目的地の薄水色のビル。
「よーし到着だ！ここで合ってるか?」
『……』
呆然としたままのアリス。つついてもビクともしない様子に、ソニックは苦笑する。
「Hey アリス？Are you OK？ちょっと乱暴すぎたか……」
『……た』
「What？」
『楽しかったぁ！ジェットコースターみたい！』
数秒間黙りを決め込んだアリスは、突として笑いだした。1歩間違えれば着陸失敗からの大怪我に繋がったかもしれないのに、そんな不安を微塵も感じさせない心地の良い風に、アリスはすっかり心を拐われたのである。
柄にもなくはしゃぐアリスを見、今度はソニックが呆然としたがすぐに笑顔を浮かべる。
『ありがとうソニックくん、こんな楽しい登校初めて！ちょっと足痛いけど！』
「Sorry！車椅子ジェットコースターも悪くないだろ？だからあんなつまらない意地張るなよ」
アリスは再び言葉を失う。本当は慣れない車椅子で心配だったが、家の仕事で忙しいエラ達には頼れない。否、頼ってはいけなかった。
今まで家族にも友達にも、誰にも悟られなかったアリスの本心すら、ソニックは見つけ出してしまった。
「図星、ってカオしてるな」
『……あはは、ちょっと恥ずかしいな。子供みたいで』
「Why? ありのままの自分を恥ずかしがる必要なんて無いだろ？」
『……！』
ソニックは屈託のない笑顔で放ったと同時に、柔らかな風がアリスの頬を撫でていく。
まるで、凪いだ海を揺さぶるかのように。
「じゃあな！オレは行くぜ。Have a nice day！」
『あっ、ありがとうソニックくん！』
「ソニックでいいよ！」
ソニックは堂々と公道を走って言ってしまったが、道行く人は突風が吹いたくらいの反応しか示さない。流石音速の申し子、誰の目にも止まりやしない。
『……ありのままの自分は、恥ずかしくない？』
そもそも、その“つまらない意地”を張り始めたり、変に背伸びを始めたのは、いつからだっただろうか。
『＿＿＿＿＿ソニック。私、』
小さな背中が見えなくなってもずっと彼が消えた彼方を見つめていたアリスは、結局2限目には遅刻してしまった。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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