第21話 ページ21
《大学は知っての通りぶっ壊れた。だから暫くキャンパスが移転するんだとよ》
テイルス達との通話を切ったアリスは、今度はオスカーからの連絡を受けていた。ぶすくれた表情で話を続けるオスカーを眺めつつ、アリスはぱちくりと目を瞬かせる。
《場所のデータを添付して送ってやる。休むんじゃねえぞ！車椅子なんか欠席の言い訳になんねぇからな》
『う、うん。分かった……』
アリスの返事を聞くとブツリ、と通話が切れ、パソコンのディスプレイが映し出される。あまりにも単調な連絡だった。
彼のことだから｢足がそんなんじゃ学校来れなくなるかもな〜｣くらいの悪態はついてくるだろうと思っていたアリスにとっては予想外で、逆にどこか腑に落ちない様子で後から送られてきたデータを開けようとした。しかし再びビデオ通話の着信が届く。画面にはつい先程電話をしていた男の名前が書かれていた。
『またオスカー？今度は何……』
《ハローアリス〜！元気？足の調子はどお〜？》
『わ、サラ……？大丈夫よ。オスカーとデート？』
《そうよ。オスカー今トイレだから、今のうちにちょっとフォローしとこうと思って》
『フォロー？』
やけにニコニコとしたサラに少し疑問を抱くも、次の言葉に目を見開くことになる。
《彼ね、あの後アリスとエリザの事すんごい心配してたのよ。お見舞いに行くかどうかまで考えてたの》
『え、あのオスカーが……？』
《そう! でもいざ2人を前にするとぶすくれるんだもの。ツンデレで可愛いでしょ〜、あたしのカレ！》
『……』
《あと、驚かないで聞いてね。オスカー、アリスの事見直したとも言ってたわよ！あたしもカッコイイって思ったけどね！オスカーの次に！》
『……ねえ、サラ』
静かなアリスの声に、すっかり惚気タイムに突入していたサラは我に返って｢な、なぁに？｣と平静を取り繕う。アリスは俯き加減だった顔を上げ、笑顔を浮かべてカメラに向いた。
『ありがとう』
《……え、》
『オスカーにも伝えておいて。私、2人が助けに来てくれて嬉しかったし、とても心強かった。あの時、本当はまた貶されるんじゃないかって怖くて……でも違った。疑ってごめんなさい。』
画面越しに頭を下げるアリスを見て、サラは放心していた。
実は今まで言ったことの全て、嘘だったのだ。
オスカーの心情は知らずとも、ただ単にアリスを散々舞い上がらせた後に一気に落として、その反応を見て遊ぼう。そういう魂胆だったのだ。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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