第6話 ページ6
「ありがとう、お姉ちゃん」
アリスが受話器をテーブルに置き、クリスの頭を優しく撫でていると、ソニックが屋根からベランダの柵へ飛び移ってきた。軽すぎる身のこなしに姉弟は目を見開く。
「ネコってオレの事か？」
『ええ。怒っちゃった？』
「仕方ないよお姉ちゃん。ハリネズミなんて言っても、きっと分かってもらえないもの」
「どういう意味？」
ソニックが聞いた。それもそのはず、こっちの世界に来てからどうも異端者扱いばかり受けている気がする。やっと助けてくれたこの姉弟ですら、自分をただのハリネズミと見てくれない。その事が不満だった。
しかしクリスの言い分も正しかった。ソニック達の世界の常識があれば、クリス達普通の人間の世界の常識だってある。今回はたまたま此処が後者の世界で、ソニックとは異なるハリネズミの定義がまかり通っている、そんな世界。もしかしたらソニックの世界ではネコもまた違う姿なのかもしれないが、それは今は置いておこう。
「だって、こっちのハリネズミってもっと小さいから」
『そうね。あなたは色だって青色だし、それに喋るし。とにかくハリネズミとしては特別なのよ』
「ふぅん」
ソニックの興味なさげな返事と同時に、机上の受話器が再び鳴り出した。今度はクリスが手に取る。
「は、はい」
「やあ、クリスか？さっきママから聞いたんだけど、昨夜家のプールにネコが入ってきたんだって？」
「あ、パパ……」
「すまんなぁクリス。ネコが簡単に入れるようなセキュリティで……。お姉ちゃんにも謝っておいてくれ」
微かに聞こえてくる父･ネルソンの声にソニックは呆れたような顔で頬杖をつく。そして、その隣で苦笑を浮かべてクリスを見守るアリスの首のネックレスを目に映す。ソニックは手を伸ばし、ぶら下がっている金色の輪を軽く引っ張った。
『ん……どうしたの？』
「Sorry. ちょっと気になってな」
『ああこれ？おばあちゃんから貰った大切な指輪よ』
自分のパワーの源のリング似たそれにすっかり興味を持ったようだった。引っ張りすぎないように指で弄りながら、ソニックは疑問を口にする。
「これ指輪だろ、何でわざわざ首からかけるんだ？」
『指のサイズが合わないの。もう少し大人になって、いつか大事な時が来たら……その時に付けるつもり』
首を傾げるソニックに、まあ今の所そんな予定ないけどね、とアリスはへらりと笑うのだった。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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