第41話 ページ41
side ナックルズ
「ナックルズ、帰るんならこっちの方角をオススメするぜ」
「はぁ？何で」
「いいからいいから！」
＊
そう言うソニックに半ば疑いを持ちながらも、俺は教えられた方向に足を進めていた。エッグマンに騙されたばかりの俺は、ソニックのどこか楽しそうなニヤケ顔を浮かべながらの言葉を信じるかどうか迷った。しかしアイツは揶揄いはするものの俺を騙すことはまずない。それに先程助けてくれた礼代わりに、結局そちらに向かうことにしたのだが。
歩いても歩いても木々は増えるでもなく減るでもなく。強いて言うなら花の香りが漂い始めた事だけしかこれといった変化はない。いや、もしかしてそれが手がかりになのか……と、そう考える他なかった俺は鼻を頼りに進路を変える。
花の香りに導かれるように歩く。すると道が開けてきて、小さな花畑が目いっぱいに映りこんだ。
こんな場所はさっきソニックと森を荒らさんとばかりに走り回ったにも関わらず見たことがない。思えば俺はソニックを追いかけてばかりだったから、アイツがわざと避けていたのか。それは俺にも分からなかった。
『……あ、』
掠れた声の方に咄嗟に目をむける。真正面の大木に寄りかかるように座っていた人間の女が、俺を見て口をパクパクとさせていた。
薄茶色の髪、蒼い瞳、首から下がる金色の輪のネックレス。どこか見覚えのある姿だった。
「お前、もしかして」
『ナックルズ！……さん！』
俺が声をかけるなりソイツは文字通り目を輝かせて立ち上がる。小走りで駆け寄って俺の目の前に膝をついて視線を合わせてきた、少し頬の紅潮したソイツを見て、俺は思い出した。
数日前、壊れかけのビルから救い出した2人の女のうちの1人……コンクリートに足を挟んでもなお、友人の命を優先しようとした奴。あの場所で、あの状況で、そんな馬鹿な行動をどうしても放っておくことが出来なかった存在。忘れるわけがない、アリスだ。
なるほど、ソニックが言っていたのはこの事か。頭の中で作戦成功の笑顔を浮かべるアイツの顔を思い浮かべていると、アリスがじっとこちらを見ている事に気付く。
『あの、えと……』
「……もう足は大丈夫なのか」
『あ、はいっ！エリザも元気です』
「なら良かった。もうあんな事に巻き込まれるんじゃないぞ」
『は、はいっ！……』
俺が何か言えば勢いよく返事は返ってくるものの、その後何か言いたげな表情のまま視線を泳がせるアリスに首を傾げた。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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