第11話 ページ11
「ソーンダイク！！聞いているのか！！」
教室内に響いた怒号に、俯き加減だったアリスは顔を上げてビクッと肩を震わせた。視線の先にはホワイトボードの前で顔を顰めている中年の教師。眉をひくつかせている彼の
『へっ、はっ、聞いてませんでした……！』
「ったく……前に出てこの問12を解け！」
アリスは躓きながらもホワイトボードへと走る。慌てた様子にキャンバス内の過半数がクスクスと笑っていた。顔にはじわじわと熱が集まるも、ボードの前に立つとペンを取ったアリスはあっという間に問題をスラスラと解き明かしていった。
「……せ、正解だ」
解答のスピードはまだしも、教科書すらも参考にせずに解き明かされてしまったことに教師は悔しげに唇を噛む。静まり返った教室に、今度はアリスの申し訳なさそうな声が上がる。
『えっと、先生。この問9の答え……間違ってますよ』
「ぐっ」
＊
「アリスっ」
『うわっ、エリザ』
「うわって何よ。コソコソと何してたの？」
『い、いえ……。別に大したことじゃないの』
ノートの下に咄嗟にパソコンを隠し、頬をかいて誤魔化す。まさか授業を投げ出して世間を騒がせる青いハリネズミ……ソニック･ザ･ヘッジホッグについて調べまくっていたことなんて言えるわけがない。
その後ろで、音もなしに教科書の間から覗くノートパソコンを抜き取り開く青年がいた。
「“青いハリネズミ、未だ捜索中”。へぇ〜、こんなの見てるんだあ」
『あっ、ちょっと……！』
「お前こんなフェイクニュース信じてんのかよ！まだまだガキだなぁ」
「ふふっ、いいじゃないオスカー。そのロボット？ハリネズミ？今超絶話題なんでしょ？」
ガキと呼ばれた事に顔を顰めるアリスを鼻で笑うオスカーと呼ばれた青年は、腕に絡みついてきたガールフレンドに｢そうだぜ、サラ｣とニヒルな笑みを浮かべた。甘いマスクで人気の高い彼だが、アリスはこうして自分にちょっかいを出してくる彼をどうも好きになれない。
『何調べようが私の勝手でしょ！返して！』
「二本足で立って早く走るハリネズミなんかこの世にいる訳ないし、何より映像にもまともに映ってないだろ？ 皆幻かなんかを見てんのさ。バッカじゃねえの」
パソコンに手を伸ばすアリスを鼻で笑うオスカー。ハリネズミどうこうじゃなくて、普通に私物だから返してもらいたいだけなのに。唸るアリスとオスカーの間に、エリザが割って入った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
