俺様、何様、登坂様 (ページ13)

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直人様ページ13

直人のおかげで、手につかなかった仕事をなんとか終わらすことができた。

パソコンの電源を急いで落として、帰る準備をする。

すでにエントランスで待っていた直人に駆け寄った。

「直人！お待たせ！」

「おつかれ～よし！行くか！」

直人はにこにこしながら、立ち上がり私の隣を歩幅に合わせてゆっくり歩いた。

ああ、と思った。

臣なら、「おっせー待ちくたびれた」って言いながら私の前をずかずか歩いていく。

こんな時にも思い出す彼の事。

「うまいもん食わせてやるから、元気出せ」

なっ！と、私の気持ちに気付いてるかのように直人は笑顔で背中を押した。

直人の優しさに心が救われる。せっかく誘ってもらったのに、へこんでちゃだめだ。

「うん、どこ連れてってくれるの？焼き肉？」

「そう、焼き肉！」

「さすが直人～よくわかってます！」

「Aのことなら何でもわかりまーす」

あはは、と笑い合いながらたどり着いたのは、直人おすすめのオシャレな焼き肉屋さん。

「すっごいおしゃれ！でも、超高そうなんだけど…」

「気にすんな！今日は俺のおごり。Aは気にせず食べてればよい」

「いつか恩返しいたします直人様」

美味しいお肉に、すっかり機嫌がよくなった私。

お互いにお酒も入り、少しほろよいになってきた頃。

直人に先日起こった出来事を話した。

私のもやもやの原因。