もやもや ページ12
臣の部屋に行ったあの日から、私の心はもやもやと、いらいら。
原因は分かっている。
でも、何ともならない気持ちに余計にいらいら。
「眉間にすげーシワよってんぞ」
「なおとぉ…」
―――珍しく弱っているAを見た気がした。
いつも彼氏のことで頭がいっぱいで、毎日毎日携帯を見ては、にやにやにやにや。
口を開けば、彼氏がどうだとか、超かっこいいだとか、惚気ばかりのAが今は弱々しく俺の名前を呼んだ。
こういう時こそ、俺の出番かな。
「メシ行くか」
「うん、直人だいすき」
くすん、と涙目。
ずるいなぁ、軽々しく男にだいすきなんて言っちゃだめだろ。
そう思いながらも、有難く「だいすき」という言葉を受け取った、女々しい俺。
「だから今日は最後まで仕事がんばれ、A」
優しく頭をぽんっと撫でてやると、嬉しそうに眉をさげたAに俺は切なくなる。
俺だったらこんな顔させないのに、なんて。
「食べたいもの考えといて」
うん、と笑顔になったAの顔を見て安心する。
少しでも俺を見て笑顔になってくれればいい。それだけでいい。
「どこの店にするかな〜」
きっと焼肉だろうな、あいつのことだから。
久しぶりに頼られて、Aが悲しい時に不謹慎にも喜ぶ俺。
いつもより早めに仕事を終わらせて、少しだけ髪の毛をセットして、Aが仕事を終えるのを待った。
今日は少しでも笑顔になってくれますように。
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risa(プロフ) - めっちゃキュンキュンしました!続きも楽しみにしています!! (2017年2月24日 17時) (レス) id: 5a7dd95724 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:clover | 作成日時:2017年1月13日 15時