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上司はぬいぐるみをムニムニする3 ページ3

長時間煮込まれたであろう牛肉がほろほろとほどけていく。
水菜と大根のサラダにカプレーゼも美味しい。
降谷さんは本当に何でも出来てしまう。
顔良し、文武両道で公務員な上に料理も上手と来た。
女性がほっとくわけがない。
ポアロでもそれは立証済みだ。
だからこそ気になることがある。

「降谷さんって彼女居ないんですか?」

それは無意識で言葉に出ていた。
ハッと降谷さんを見てみれば目を見開いてこちらを見ていた。

「・・・守るものは作りたくない。弱みに付け込まれるからな。」
「まぁ、一理ありますが。守るものがあってこそ強くなれる時があると思うんですが。」
「・・・それは最近思うな。」

そう語る降谷さんはどこか遠くを見ていてその姿にドキッとしてしまう。

「そういうお前は?」
「・・・いるように見えます?」
「ガサツなお前を欲しいと言う物好きがいるとは思えん。」
「ひどっ。」

たしかに女らしいところはない。
趣味も車やバイクだし、スカートなんかはくことがない。
いいさ、そんなところが好きになってくれる人が現れるはずだしと半ば不貞腐れながら黙々と箸を進める。

「あ、お前のいいところが一つだけあった。」
「一つだけですか・・・ちなみに何ですか?」
「食べっぷりのいいとこだ。」
「ソレハドーモ。」


――やはり難点なのは性格か。

あっという間にご飯を平らげ食後のデザートのマカロンまで頂けば時間は間もなく日が変わろうとしていた。

「降谷さん、そろそろ帰ります。」

駅前にネカフェがあるのは調べてあるし始発に乗って一度家に帰って登庁しようと考えていると車の鍵を持った降谷さんに声をかけられる。


「送っていく。」
「いいんですか?」
「あぁ、早く行くぞ。」

降谷さんにマンション前まで送ってもらい車のドアを開ける。

「ありがとうございました。」
「あぁ。」
「では、おやすみなさい。」
「A。」
「はい?」
「お前自分のことは鈍感だな。」
「・・・は?」
「じゃ、な。」

意味深な事を呟いた降谷さんはそのまま走り去った。
一体何のことなのか頭の中ははてなマークで埋め尽くされながらマンションのエントランスをくぐった。




「あ、ぬいぐるみ置いてきちゃった。」

上司と雑炊1→←上司はぬいぐるみをムニムニする2



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月詠(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!少し更新スピードが落ちてますが気長に待っていただければ幸いです。 (2019年11月29日 21時) (レス) id: a4fc351ca6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年11月16日 0時) (レス) id: fb97b4034b (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - まよさん» 初めまして。ありがとうございます!すごく励みになります。気長にお付き合いくださいませ。 (2019年9月27日 17時) (レス) id: c30e1cbeb8 (このIDを非表示/違反報告)
まよ(プロフ) - 初めまして(^^)すごい面白くて夢中で読んでます!更新楽しみにしてます! (2019年9月26日 12時) (レス) id: f3e2704753 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月詠 | 作成日時:2019年9月13日 17時

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