上司とプレゼント4 ページ13
「座ってろ。」
そう言ってキッチンに姿を消した上司を横目で見つつテレビボードで異彩を放っているものに近寄る。
それは前回ここに訪れた時に私が置いたぬいぐるみのキーホルダー。
忘れてそのままだったのだ。
しかしなぜかこの部屋に溶け込んでいる気がする。
「何してるんだ?」
「私が忘れたこれを回収しようかと。」
「回収なんかしなくていい。俺がありがたくもらってやったんだ。」
「あげてませんけど・・・。」
「この部屋に置いたのであれば俺のものだ。」
うわ、出た。
お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの発言。
某ガキ大将か。
「で、持ってきたんだろ?」
コーヒーをサイドボードに置きながらに問いかけるのは絶対的確信。
どこからそれが出てくるかは不明だがまぁ、今日は良しとしよう。
カバンの中から袋を出し机の上に置く。
「お誕生日おめでとうございます。私のセンスなので入らなければ捨ててください。」
「そんな勿体無いことできるか。」
ガサガサと包み紙を解いて行き箱から現れたのはネクタイピン。
それを見て降谷さんはしばらく動かない。
何かマズかったかな?
「あの、降谷さん?」
「・・・お前、どうしてこれを選んだ?」
「へ?・・・いや、偶然見かけていいなって思ったからです。」
瞳の色が一緒だったから――
それは胸の内に秘めた。
「・・・そうか。ありがたく使わせてもらう。」
「は、はい。」
よかった、どうやら気に入ってくれたようだ。
「で。」
「・・・で?」
「誕生日といえばケーキだろ?」
「買ってませんよ・・・今日会えるかどうかもわからないのに。」
「それもそうだな。ならこれを食うぞ。」
そう言って持って来たのは小さなホールのイチゴケーキ。
まさかとは思うが・・・
「・・・自分で作ったんですか?」
「今日はポアロが暇だったからな。新作にと作ったんだ。」
よかった、自分で祝うようにケーキ作ったとか言ったら私はどう反応すればいいのか分からなかった。
ケーキとシャンパンでお祝いするささやかな上司のお誕生日。
今日は平和に1日が終わりそうだ――
「明日から部署に缶詰だからな。」
「マジか?!」
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月詠(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!少し更新スピードが落ちてますが気長に待っていただければ幸いです。 (2019年11月29日 21時) (レス) id: a4fc351ca6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年11月16日 0時) (レス) id: fb97b4034b (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - まよさん» 初めまして。ありがとうございます!すごく励みになります。気長にお付き合いくださいませ。 (2019年9月27日 17時) (レス) id: c30e1cbeb8 (このIDを非表示/違反報告)
まよ(プロフ) - 初めまして(^^)すごい面白くて夢中で読んでます!更新楽しみにしてます! (2019年9月26日 12時) (レス) id: f3e2704753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月詠 | 作成日時:2019年9月13日 17時