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1話 ページ3

みつと、地元の大学でずっと行きたかった学科に進めたことを喜んでいたあの日の自分を返してほしい。私は誰にも進学先を伝えていなければ、みつしか知らないはずなのに。

「みつ、帰ろう…」
「あー、うん、帰ろっか…」

お互いが顔をげっそりさせ、2人揃ってため息をつく。しょうがないだろう、こればっかりは。予想外にも程がある。これでサークルも同じだったら辛すぎるんだけども…。

「まさかね、そんなことないよね…」
「どうかなー…?昔からあのサークルにはお世話になってるし、それ知ってたら皆いるんじゃないの?」
「私に希望を持たせてください」

しかしまぁことごとく私の希望は打ち砕かれる。帰り際に先輩を見かけ、挨拶しようと近寄ったのが悪かった。

「あー、来てたんだ、すずせん…ぱ…い……」
「おー、Aちゃん、みっくん、お久〜。入学おめでとぉ。」
「やぁA、みつ、おめでとう。」

見覚えのある赤髪に、私は言葉を失う。それはみつも同じなようで。絶句。それが今の私たちにはピッタリなのだろう。わけがわからないよ。なんで、すず先輩と赤司が知り合いなわけ。もう嫌な予感しかしないんですが。誰か私に嘘だと言ってください。

「みっくんたち、赤司くんたちと同級生なんやって?去年この子“たち”が入ってきた時、びっくりしたんよー。」
「えっ、待って、先輩、たちって…まさか…」
「おや、今日は勘が鋭いのだね、A。そのまさかだよ。僕らが全員、入らないわけないだろう?」

コイツをひとまず殴りたい。

それが、最初に思ったことだった。割と本気で殴りたい。私の安定した大学生活を返してくれ。意味わからん。もうやだ。

「すず先輩、今日は私たち帰ります。オリエンテーションが落ち着いたら練習に行きますね。」
「はいよー。気ぃつけてなー。せや、先にラインだけ交換しとこか。あとでウチのグループにも招待しとくけ、入ったってな〜。」
「はい、ではお先に失礼します。みつ、行こう。」
「あっ、うん。じゃあまた、すず先輩。失礼します。」

固まったままのみつを無理矢理引っ張り、私はバス停まで早歩きで動いた。頭の中が非常に混乱している。無理もないだろう。予想外のことだけがずっと起きているのだから。

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作者名:みあ | 作成日時:2017年7月15日 8時

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